週刊てーて ひらく農園から
「台風一過」
待ちに待った雨は、台風がもたらしてくれました。雨はたっぷりと土にしみ込み、水はけの良くない畑では水がたまっています。当分、畑を耕すことはできませんが、水に飢えていた野菜たちは大喜びでしょう。
とーと畑を歩いてみると、長靴はズボッと土の中にめり込みます。畑の最南端に町の排水路があって、そこに向かって水が流れるようにあらかじめ畝を立てておきます。今回も台風が来るだろうとあたりをつけて、二週間ほど前からトラクターで畝立てをしておいたわけです。畝の南の端は、濁流の激しさで浸食されています。それでも畑の真ん中あたりに少し低いところがあって、きれいに排水はされません。水が流れたとしても、長靴がはまるくらいですから、当分畑を耕すことはできません。
こんな条件のもとで畑をやっているのですから、どうしても機械が必要になります。要するに、大雨と大雨の間の数日間のうちの最後の二,三日が畑の乾く瞬間ですから、その時を狙って畝立てをして苗を植える、という方法しかとれないのです。長靴がはまるようでは、能率よく草取りもできませんから、紙マルチを張って草を抑えるという方法も必然としています。機械を使って、条件の良いうちにパッと仕事をこなさなければ、冬の野菜が収穫できないという事態に追い込まれるのです。
今回の台風はたいしたことはなかったという挨拶に、僕が歯切れ良くないのは、次の大雨の予想がたっていないからです。数日後に雨が降るという予報も出ています。雨が続けば、苗を今年も捨てることになりかねません。台風がくるという時の複雑な気持ちは、十月いっぱいまで持ち越します。今回は、潮風が吹かなかった、というはっきりとした事実に、ホッと胸をなでおろしてはいます。台風一過の畑の状態を幾つも記憶に重ねていくうちには、畑も良くなってくれるでしょうけれど、多かれ少なかれ被害はあるというのも事実です。
二〇〇一年八月二十三日 寺田潤史
台風一過二日目のとーと畑 |
低いところは畝間に水がたまって乾くまでに時間がかかる。 |
濁流で浸食 |
足を踏み入れるともぐる |
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