「５１歳　その４」

　愛する者を守る、ということを書いた。守るということは、時に苦しいものだ、と。なぜか？守るということは、実に保守的なことだからである。真に自由である、ということは、自分も自由だが、相手も自由である、ということのように映る。が、それは、放任あるいはバラバラである。放任は自由ではない。自由とは、ある種の束縛から生まれたストレスを自分のものにする、ということである、とも言うことができる。つまり、子供のように、ストレスを人のせいにしているうちは自由になれない、ということだ。

　禅問答のようになってきたので、止める。僕の五人の子供たちは、毎日のように喧嘩をする。いつだって、喧嘩をする当人たちには言い分がある。そのたびごとに、僕は仲介に駆り出される。僕だって仕事のほかにもやりたいことが山積みしたままなので、そんな時間は惜しい。けれど、子供に対しても真剣であることしか、僕のやり方はない。結果、大人に対することと同じことを子供に対しても、口にしている。

　一例を出す。今日の具体例だ。二女が言うには、三女が偶然タンスを斜めに倒してしまった、らしい。そのことに対して、二女が三女に対して「元に戻せ」と言っても元に戻さない、と僕に苦情を言いに来た。僕は応える。不可抗力は、たまに突発的に起こるものだから、そのことを怒ったってしょうがない。わざとやったなら、怒っていいよ。でも不可抗力なら、一緒に修復すれば済むことだよ。二女は、常々の姉妹喧嘩で、些細なことにも殺気立っているように見える。つまり、常々のストレスをため込んでいることが平常心に戻ることを難しくしているのだ。それは、二女だけのことではもちろんない。

　５１歳という年齢は、ストレスをため込まずに何とかやっていくことのできる年齢である。そこに価値はあると思う。だが、包容力のある笑っているだけの人間になりたいなんてこれっぽっちも思っていなくて、自分のやりたいことを突き進む人間になりたいという思いをますます強くしている。でも、野菜や畑の草に対しては、包容力のあるほうかな？草を目の敵にしたことが一度もないし、野菜がモリモリ育たなくてもまったく構わないし。野菜の収穫が進んで、野菜の樹が疲れてきた時に、何とか時間を作って堆肥を追加してあげなくちゃ、とも思うし…。

　ストレスはどこから来てどこへ行くのだろう？ストレスは、自分の中で生まれるもので、多くは他者や時間との関係から自分への焦りのようなものが変質して生まれるのであろう。時間との関係も、他者の存在がその先にある。何々をしなくてはいけない、何々をなぜやらなくてはいけないのか、など自分へのストレスを過剰に思い込むことがマイナスの原因となるようだ。何々をしたい、あれもこれもしたい、だから一つ一つこなしていく、というスタイルであれば、ストレスは少なくなるかもしれない。やりたいことをやるということは、満足を得るということであり、やりたいことを一つずつこなすことが、満足を重ねることになる。そのことによって、生まれたストレスを食べてしまうことができるかもしれない。自分の中に生まれたストレスが、自分の中で消化されていく、それが自由ということではないかな？

2011年6月23日　寺田潤史

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