「高校受験と生活スタイル」

　長女の受験勉強に合わせて、僕の生活スタイルを変えてみた。一般の方々に近いようなスタイルだ。夜の１１時半前後には寝て、朝５時前には起きる、という形。長女や三女を５時前に起こして、ガスの火でお湯を少し沸かし、紅茶を入れて子供部屋にも置いてくる。寒い朝には、納屋の薪ストーブに火を入れ、たっぷり目のお湯を沸かす。そして、おもむろにギターの基礎練習をするのだ。ギターの筋肉運動が、頭も筋肉も目を覚ましていく。

　長女は、中学から戻ると、おやつを食べて、ホルンを吹きはじめる。長女の顔を見ないでも、ホルンの音で戻ってきていることがわかる。ホルンの練習が終わると、旋律聴音の練習をパソコンでやっているか、あるいは納屋の僕の仕事ぶりを確かめて、僕の仕事にきりがついていると一緒に視唱の練習をする。この頃は、和音の聴音も教え始めている。旋律聴音は単音のメロディを聴いて譜面にしていくものだが、和音の聴音は、複数の音を同時に鳴らして、その音を譜面にするものだ。

　長女は、ピアノの経験が浅く、作曲経験もないので、和音というものに慣れていない。ホルンも単音を連続させる楽器である。ドミソの和音がどんな感じを醸し出し、ファラドやソシレの和音がどのような感じでどのような役割を持つかなんてことも考えたことがなかったようだ。まず、そういうものに慣れなければいけない。もっとも、新曲視唱の練習を始めた１０月には、まったく何も歌うことができなかったのに、今はそこそこ音が取れるようになって歌っているのだから、最初はダメでも毎日の積み重ねで進歩すればよいだけのことではある。とはいえ、和音を聴き取ることがあまりにもできないと、最初はこちらがやきもきしてしまう。こんなことがわからんで音楽高校へ行くのか？と叫びたくなる。音楽という土俵に上がるために、外堀を埋めているような、初歩を教えるのもまた根気のいる作業だ。音を自分の中に記憶させておく、ということが必要なのだけれど、まだそのスイッチが入っていない。

　僕が野菜の仕分けを完了して配達に行っている頃に、長女は学校の勉強をしている。しかし、受験科目には楽典もある。楽典というのは、音楽を譜面に表す上でのルールだ。中学の音楽の先生にも、昼休みに少し教えていただいているようだ。夜、学校の勉強が終わってからでは、もう眠くなって頭に入らない。そこで、朝早く起きて、楽典の勉強をすることにしたらしい。でも、朝はなかなか起きることができないでいた。大家族の母親は、朝食の準備などで毎朝忙しい。そこで、僕が夜中にやっていた音楽の創作を朝に持ってきて、一緒に起きることにしたのだ。

　昨日も朝から、レコーディングをした。ギターソロを入れなければいけないところを、何とか録り終えた。早朝からのレコーディングなんてあまり聞いたことがないが、仕方がない。課題は、歌を朝から録音することだけはできない点だ。早朝はどうしても声が出ない。日中は、当然、収穫や出荷で忙しい。配達のある日は、夜１０時前後の帰宅だ。それでも、人間の生活スタイルとしては、朝早く起きたほうがいいに決まっている。実際に、５時間の睡眠でも、夜中まで起きているのと比べて、からだは楽になる。これもまた、流れかな？

2011年12月8日　寺田潤史

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