「インフルエンザは突然に」

　週明け月曜日朝、保育園に行く前の長男の額が熱い。昨夜まで、とても元気に遊んでいた五歳の長男が、今朝はだるそうに寝ている。連れ合いが近所お医者さんに連れて行って、抗生剤などをもらってくる。何しろ、小学校でも保育園でもインフルエンザの患者のうわさを聞いていない。薬を飲んで、水分を取って、長男はひたすら眠る。

　月曜日の夕方、長男は３９度まで熱が上がった。あれっ、もしかするとインフルエンザ？家族全員にマスク着用を指示して隔離政策を実行。翌日、インフルエンザの検査をする。Ａ型と出た。隔離政策は、ちょっと遅い隔離だ。保育園に電話して聴いてみると、長男の組は、数人しか登園していないという。今までゼロだったインフルエンザは、いっきに流行していた。たぶん、金曜日頃に、保育園で感染してきたのだろう。それで、土曜日も日曜日も四女と長男はずっと一緒に遊んでいた。日曜日の夜は、三女と四女と長男で風呂に入ってもいた。

　火曜日の夕方には、連れ合いも熱が出た。水曜日の朝には、四女も熱が出た。今日の木曜日には、三女も熱が出た。四人そろって、インフルエンザ。僕は、今のところ感染していない。受験生の長女も大丈夫だ。一番弱いはずの二女も今のところ平熱だ。この二人の中学生は、インフルエンザ四人のいる居間には寄りつきもしない。もちろん、二四時間マスクである。僕は、今まで疲れがたまっており、熱は上がらなかったが、ようやく正常に戻ってきたところである。だから、睡眠は十分とっていた。それは、このインフルエンザの嵐のために、養生させてくれていた、とでも言いたくなるくらいのタイミングだ。おかげで、家事と出荷を何とかこなすことができている。

　長女は受験を控え、次の日曜日には、久しぶりのホルンのレッスンの予定が入っている。受験前の大事なレッスンである。そのレッスンを、インフルエンザで棒に振りたくはない、という強い決意があるらしい。受験前ということよりも、久しぶりのホルンのレッスンということのほうが大きな意味を持っているようである。ここまで貪欲になってくれるとは、半年前では想像もつかなかったことである。今からの数年が、人生においての一つの大きなものであるということを、自覚しつつある。

　母親がインフルエンザということで、長女も次女も、キッチンでいろいろと手伝ってくれる。今までも母親の手伝いはしていたが、こういう切羽詰まった状況では、調理関係の手伝いも嫌がらずにやってくれる。先ほども、ちょっと僕が配達に出ている間、風呂の火の番を長女に頼んだ。ホルンの練習の合間に、薪を継ぎ足してくれた。子供も１５歳になれば頼りになる。調理の好きな三女なら、さらにもっと手伝ってくれるのだが、水曜日まででアウトとなってしまった。

　去年、震災前の３月も、インフルエンザに襲われた。その時は、僕も含めて家族全員だった。Ｂ型のインフルエンザだった。感染時期には、感染力が強いのだなと、今回も改めて感じさせられた。そして、個別のマスクは、家族の中においても、かなり有効的であることも再確認できた。強い意志は、行動も意思ある行動になることも確認した。

2012年1月26日　寺田潤史

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