「連休２０１３」

　先週、収穫の始まったエンドウ類は、もう最盛期に入っている。ゴールデンウィークで、野菜宅配のお休みや日程変更などが重なると、最盛期のエンドウ類は行き場を失ってしまうことがある。そんな時に、ファーマーズマーケットなどに出荷することに意義が出てくるのだが、ファーマーズマーケットにはどっさりとエンドウ類が出荷されていて、うちの繊細なエンドウ類を並べる気にはならない。ところが、大型ショッピングセンター内のファーマーズマーケットととなると、うちのエンドウ類の出番があるのだ。

　そんなわけで、ゴールデンウィークは二つのファーマーズマーケットに毎日のように出荷することになり、通常出荷と合わせて忙しい。だが、やりたいことは、苗の植え付けである。ようやく、今日は葉物類を植え付けることができた。まだまだ夏野菜の植え付けがたくさん残っている。残り二日の連休を、出荷と植付けで明け暮れることは間違いないだろう。

　大型ショッピングセンターに出荷に行くと、駐車場はほとんど満車に近い状態で、人が溢れている。世の中の不景気なんぞは関係ないかのように、お茶畑の中の巨大な建物内は賑わっている。しかし、僕は早足で出荷を済ませて、巨大な建物を後にする。この人出の多さの恩恵に預かっているうちの野菜だが、その野菜を育てることに忙しくて、まるで人出の多さとは無関係のような不思議な感覚でもある。

　連休前半は、出荷の合間にトラクターのロータリー作業機に付いている、鉄の爪を交換していた。鉄の爪、と聞いて、フリッツ・フォン・エリックを思い出す人は古い時代の人だね？この鉄の爪は、畑を耕す爪である。いつもは、僕の兄貴にインパクトレンチという機械を借りてきて、鉄の爪を留めてあるボルトを外すのだが、そのインパクトレンチが見当たらない。仕方がないから、６４本のボルトを電気を使わないで人力で外した。これがまた、硬くしまっていて、簡単なことではない。おかげで時間をたくさん費やした。もちろん、出荷の合間や日が暮れてから作業するのだから、一日で終わるようなものでもない。

　この鉄の爪、畑で酷使されると、５�pの幅の鉄がどんどん細り、針金のように細り、やがては元の形の見る影もなくなるくらいに削られてしまう。そうなると、トラクターで耕したつもりになっても、ほとんど耕されていないような状態になる。台風被害で資金が乏しくなったので、極力、鉄の爪の交換時期を遅らせてきたのだが、もう限界であった。作業効率もへったくれもあったもんじゃない。実際に、爪を交換して畑を耕してみると、雑草がきれいに土に漉き込まれていく。この作業効率のよさは、今更ながらに「もっと早く交換しておけば作業はどれほど進んだことか？」と思わせる。

　子どもたちは連休を謳歌している。２日だけだが、連れ合いの実家へ下の３人が泊まりに行ってくれたことは、僕の作業を進ませた。畑は乾燥している。降るときにはドサっと降る雨も、降らなければ全く降らないので、すぐに乾いてしまう。苗を植え付けても、すぐに井戸水を用意しなければならない。とてもじゃないが、連なって休めないよ。

2013年5月4日　寺田潤史

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