「サッカー」

　連休を忙しくし過ぎて、過労となってしまった。全身の筋肉がどうしようもなくなって、できうる限りの睡眠とマッサージを行った。もちろん、丸一日休むなんてことはできないから、苗の水やりや井戸水での水やり、出荷、配達はこなした。ただ、畑作業ができないのが痛かった。それ以上に全身の筋肉が痛いのだから仕方がない。若い頃と違うのは、その回復力の遅さである。

　長男との夕方のサッカーも、二日間休んだ。毎日のサッカーも疲労に輪をかけていたに違いない。今日は二日ぶりにサッカーに付き合ったが、とても本調子とは言えない。でも、サッカーの相手をするまでに回復したことは嬉しいことである。体の動くことの幸せを感じている。とはいえ、夕方、インゲンの葉についたアブラムシとりをしゃがんで行ったら、また腰が痛い。まだまだ無理は出来そうもない。

　長男とのサッカーの練習は、あるいは遊びかもしれないが、体の調子を保つには良い運動だ。相手は小学一年生だから、本気で僕から点を奪うべく頑張ってくる。この頃は、少し油断すると点を入れられるようになってきた。僕なんぞは、サッカー経験者と言うには程遠い経験で、高校の頃リフティングも１００回できただけの、単なるサッカー好きである。今では、リフティングは４０回もできないくらいだ。サッカーをやるのも好きだが、テレビで欧州サッカーを見るのも大好きである。時間をとれないから、たくさんの試合を見ることはできないけれど…。

　夕べも早めに寝ようとして、欧州サッカーのニュースをiPhoneで確認した。何と、マンチェスターユナイテッドのファーガソン監督が今季限りで勇退する、と報じていた。これには驚いた。日本の香川選手を招き入れた監督である。英国ではそのニュースでもちきりらしいが、僕にとってもとても大きなニュースだった。家族に説明しても理解してもらえないから、一人でひそかにニュースを追った。サッカー文化の深いところを凝縮したような、そんなニュースでもある。

　各国の代表クラスの人の集まりのようなチームにおいて、試合に出ることすら大変なチームで、彼の選手の起用法は独特のものがあった。長い目で若手を育てる姿勢と、ベテランを大切にする姿勢、チームのファミリーのためならサッカー協会にも平気で噛みつくし、罰金も払う。もちろん、結果も出し続けてきた。２６年間で３０を超えるタイトル獲得なんて、ありえないような数字だ。サッカーが好きな人だということはわかるけれど、香川選手を２年間追い続けて獲得する目にこそ、その真骨頂があるような気もする。そして、後任監督もそのようになるようだ。

　長男をサッカー選手にするつもりはない。なりたくてなれるような簡単な世界ではないから、相当に強い意志の持ち主でないと無理だろう。去年、長男が保育園の時に地元のサッカー少年団に入れた。友達がコーチをしていたし、男の子はエネルギーの発散させる場所が必要だと思ったからだ。続けるかどうかは本人の意思次第だ。この頃はサッカーをやりたくてしょうがないらしい。サッカーなら僕も相手をしていて楽しいからいいけれど、これが剣道だったら相手はできないもの。さらに、連れ合いが親ばかで、自分が撮ってきた長男の試合での得点シーンばかり何度も見て悦に入っている。好きなら好きなようにするのがいい。

2013年5月9日　寺田潤史

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