「夏の疲れ」

　今夜は、極早生の玉ねぎの種播き予定だった。夕方、湿度がまた上がって、蚊の大群の中を、撹拌ミキサーを動かして種播き培土を仕込んだ。そのあと、長男とサッカーをして、日が暮れた。日の暮れる直前、長男を抜いて、右足でシュートを放った。長男は猛然とタックルしてきて、どういうわけか僕の軸足たる左のふくらはぎに長男の頭が突っ込んできた。一瞬、長男のほうを心配したのだったが、傷んだのは僕のふくらはぎだった。

　そのあとも、傷んだ左足を引きずりながらサッカーを続けた。軸足をやられると、こんなにも影響が出るんだなぁ、と思いながら、サッカー選手の怪我に思いを馳せた。そして、夕飯のあと、立ち上がってみると、思いのほか足が痛く、わずかだがふくらはぎが膨らんでいることに気付いた。これは無理して立ち仕事の種播きをするわけにはいかない、と思い至ったわけだ。明日以降の仕事に影響が出ては、秋の農繁期に大きな支障をきたすことになる。

　長男のタックルと、疲れが出てきたこととは関係ないと思うけれど、そろそろひと休みの時期だよ、という流れなのかもしれない。そういえば、昨日は珍しく、懇意にしていただいている方から、イベントに演奏で参加するからギターを弾きませんか？とメールをもらった。これは、どういう流れなのだろう？というのが僕の第一印象であった。「土日の昼間は仕事を休めないから」とお断りした。そして、今日は、時間ぎりぎりで出荷と出荷の合間に出荷に出かける、という時で、野菜を積んで軽トラックで出発したのだが、僕の行く先行く先で、ゆっくりとろとろと走る車が先を行っていた。こういう時には、そのような流れに逆らわない、ことにしている。そこには必ず意味がある、という僕の考えのひとつに従うのだ。

　問題は、そのような流れの時に、どのように生きるかである。折しも、南の海上には台風が発生している。台風が来れば、色々な作業は徒労に終わる。ここは思案のしどころだ。幸い、野菜の苗はまだ植えていない。レタス類など少しの苗を除いて、お彼岸以降に苗を植え付ける予定だ。種播きには時節というものがあるが、苗作りをすれば苗を避難させることができる。

　自分が生きていることの流れをどのようにとらえて、どのように自分の意思を行動に移していくか？僕の流れがあるならば、あなたの流れも必ずあるはずであるし、自然界の流れもある。そこをどうおさめていくか？がむしゃらさが生きる時と、生きない時とがあるね。ふくらはぎの痛みは、ちょっと一息入れなさいと言っているかのようだ。

2013年9月12日　寺田潤史

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