「子どもの世界　その６」

　先週末は、小学校の運動会であった。雨の予報の中、小雨もぱらついて、２種目をカットしたけれど、なんとか運動会を終えた。見ている方としては、手の指先が冷たくなって寒かった。９月に運動会があった頃は、暑くてたまらなかったのに…。四女と長男の運動会である。今年を入れて、あと６年、合計すれば１７回、あの運動場で昼食を共にすることになる。

　四女のクラスの応援席に行った。四女の顔が、家にいる時と違った。誰かに気を使っている顔である。半分怯えたような、見たことのないような顔をしていた。お祭りが終わって、運動会の練習に実が入っているような１周間に見えていたのだが、クラスの中ではとてもハツラツとした感じではなかった。

　お昼休みの前に、全校生徒が親子を交えて踊るプログラムが毎年ある。その時になって、四女が孤立していやしないか？と不安になって四女のところへ急いだ。連れ合いの恭さんは母親同士で話し込んでいるのだろう。四女が僕を見つけて、いつもの笑顔を見せた。ビデオカメラを片手に持っている僕は、一緒に踊らない。まもなく、四女はクラスの仲のよい子たちと踊りだした。ほっとした。昼食時にも、いつもの四女だった。

　次の登校日、四女は朝から泣いていた。ピンときた。やはりクラスで何かあるようだ。一学期にもあった。それが、続いていたのだ。学校を休ませ、ゆっくりと事情を聞いた。子どもの世界だが、かなり気持ちが入り組んでいる。面と向かって何かを言われることはないが、特定のひとにだけ舌打ちしたり、陰口をたたいたり。人と人の組み合わせでも態度を変える子がいるようだ。大人と変わらない、陰湿な世界である。気にするなと言われても、気になって仕方がないというのが弱い者の立場だろう。

　転じて、それをする側の立場になってみれば、きっと家庭環境に問題があるのだろう、と想像できる。例えば、親が子供を差別している、とか…。自分意外の兄弟姉妹には甘く、自分には辛く当たるような親を持てば、自分も学校で同じことをする、ということは想像に難くない。加害者には必ず原因があるはずなのだ。とはいえ、弱い立場の者からすれば、たった２，３人のために、大好きだったクラスを大嫌いになってしまうし、学校に行きたくなくなってしまうので、すべてにおいて積極性を失ってしまうのだ。

　僕も、もう少し四女との時間を多く持つべきだった。仕事は忙しいし、長男のサッカーには毎日付き合ってきた。長女、次女、三女とややこしいのが目白押しでもあるし…。四女も地域の同級生とはいつも仲良く遊んでいたので、一学期のクラスのことなど、記憶から抜けていた。まあ、でも、親がしゃしゃり出ていくことでもないし、危ない輩は世の中にごまんといるし、少しずつでも切り抜ける方法を自分なりに体得していってほしいとも思う。昨日今日は学校に行って、元気に仲良し三人組で下校しているのを見かけた。夕方には、久しぶりに四女とサッカーのパス交換もした。子どもの世界は、やはり親が見守る必要はある。

2013年10月24日　寺田潤史

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