「子供の世話」

　子どもというものは、手のかかるものである。昔の子は手が掛からなかったのか？現代の子が手が掛かり過ぎるのか？親が手をかけ過ぎるのか？はたまた、うちの子だけが手の掛かる性分なのか？はっきり言えるのは、親への要求が多いのだ。子供が多いゆえに、その要求は頻繁になる。お金の要求は却下することが多いので、あまり多くを要求してこないけれど。

　何と言っても、今の時点で要求の多いのは長女である。たとえば自転車修理。家から駅までの自転車と、駅から学校までの自転車と二台を使っている。駅から学校までの自転車の修理は、距離が遠くて手に負えないから、中古で買った自転車屋さんに行くように言ってあるので、この頃はあまり僕のところに要求には来ない。家から駅までの自転車はよくパンクをしてくる。空気の入りをよく見ていないからチューブがやられることが多いのだが、夜中に僕が納屋でパンク修理することがよくある。四女までの自転車がそれぞれにパンクすることがあるので、自転車屋さんに修理に出すわけにもいかないのだ。修理依頼したほうが時間短縮できるが、コストがかかる。

　先日は、早朝に長女から電話がかかってきて、チェーンが切れたという。こればかりはどうしようもないので、ホームセンターに預けた。ちょうど週末の連休があったので、ホームセンターがびっくりするほど安い価格で修理してくれ、学校の行き帰りには支障が出なかった。専門家がいるというのはいいものである。僕の高校時代には、空気は自分で入れたし、チェーンの油も自分で差したし、何かあれば自転車屋へ立ち寄ったものだ。なんでも自分でやるように仕向けなければいけないのだが、女の子（うちの子）は機械系をどうも自分でやりたがらない。

　長女の演奏するホルンの曲の伴奏を友達に頼むために、楽譜をコピーして、とよく言ってくる。この頃はプリンターを使って自分でできるので、子どもたちもコピーなら自分でやるようになった。しかし、市販されていないような楽譜で、状態の良くないものはコピーしてもやはり状態がよくない。それを修正してくれと長女は言ってきた。人に頼む伴奏譜では仕方がない。一枚一枚スキャンしてパソコンにとり込み、角度調整や、フィルターなどを使って、一枚一枚丁寧に修正する。長女は頼むだけ頼んで、ぐうぐうと寝ている。１７枚の楽譜を長女の机に置いてくる頃には、こちらの目もしょぼしょぼしている。

　その長女が、クラシック音楽の本場ヨーロッパに修学旅行に行くという。スーツケースが必要だというので、ネットで探した。外国に一度も行ったことがない僕であるから、当然ながらスーツケースのお世話になったことがない。どれがいいのか全くわからない。それでも、検索しながら、評判を読みながら、おぼろげながらに全体像が見えてくる。種類も多い。これから頻繁に外国へ行くのであれば、しっかりとしたものにしなければいけないが、まだ大学進学もできるかどうかわからない演奏家の卵では、一度きりの海外旅行になるかもしれない。などと、いろいろ考えながらネットにかじりついたが、時間の浪費である。最後は、長女に選択させたけれど…。

　長女だけ見ても、いろいろと手のかかることばかりで、あとの四人を含めたら、毎日がパンク寸前であることは明白だ。あと一五年、パンクしないかな？

2013年11月7日　寺田潤史

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