「ワールドカップサッカーブラジル大会　その２」

　二日前、ようやく雨が降った。数ミリの雨だが、井戸水を止めることができた。しかし、次の雨の予報も、大した量の雨は期待できそうもない。また井戸水を出して、畑に散水することになるだろう。雨は湿度を連れてきた。雨の後、夕方の畑には蚊の大群が出現している。作業の手を止めて、パチンパチンと蚊を叩く時間が増えた。

　今朝のワールドカップサッカー、日本の第２戦はギリシャと引き分けだった。残念な結果である。試合の前にズッキーニの交配をし、胡瓜などの収穫も済ませ、試合が終われば、淡々と洗濯物を干し、野菜の仕分けをした。第１戦に負けて、グループリーグ突破が危うくなると、あーあ、という気分になりかける。サッカーチームを応援することは、いったい何なんだろう？と思う瞬間である。

　人間の遺伝子に組み込まれているであろう戦闘的なもの、それが戦争等の人殺しに発揮されるかわりに、スポーツで形を変えて発揮されること、それが競技者であれ応援者であれ、人の進化の一つの形と言ってもよいだろう。と考えると、負けたことなど大したことではないようにも感じられてくる。勝った時には、そんな思いは浮かんでこない。負けることは、人をして考えることにつながる、そんな気もするのである。

　昔、日本は弱かった。だから、ワールドカップサッカーに日本が出ないのが当たり前で、それでも十分に面白かった。日本のＪリーグができて、日本のサッカーのレベルが上がり、ワールドカップに５回も連続して出場できるようになると、今度は強い日本を見たくなる。しかし、まだまだサッカー新興国に過ぎないのだから、一朝一夕に強くなるわけもない。今回のワールドカップでも、各国の執念にも似た頑張りぶりは、日本を上回っている。その執念に近い頑張りぶりこそが、ワールドカップサッカーの魅力なのかもしれない。

　技術レベルが上がること、それはそれでよろしいことだが、サッカーが好きで好きで仕方がないことを、表現してほしいと思う。毎日、自宅の駐車場で長男とサッカーをしているが、彼はサッカーが単純に好きなのである。昨夜もなかなかやめようとしなかった。練習もよくやっているが、単にシュートをたくさん打ちたい、ゴールキーパー役で僕のシュートをたくさん止めたい、そういうことなのだ。そのことが遺伝子レバルで、彼に何かを働かせるのだろう。

　今回、まだワールドカップサッカーは始まったばかりだが、僕が感じたものは、サッカーならサッカーを好きな子供たち、しかもとことん好きな子供たちがもっともっと多くならなければ、日本のサッカーも強くはならないだろう、ということだ。長男のサッカー少年団の子供たちを見ていても、そこまでサッカーが好きな子はまだまだ少ないと感じる。各国代表のあの執念に似た頑張りぶりは、サッカーを好きで好きでしょうがないことの気持ちの強さのように映る。まだグループリーグ敗退と決まったわけではないけれど、サッカー小僧そのもののプレーを第３戦に見せてほしい。長男の好きなストライカーはウルグアイのスアレスであるが、スアレスこそ典型的なサッカー小僧のように僕には映るのだ。

2014年6月20日　寺田潤史

バックナンバーへ

ご意見、ご感想、お問い合わせは、下記よりどうぞお寄せください。

★　ひらく農園の野菜の入手方法

☆　このページの最初に戻る