「ワールドカップサッカーブラジル大会　その３」

　今日はようやく雨が降ってくれた。梅雨に雨を待望するなんて、ばかげた夏である。梅雨に雨が降って、喜んで井戸水を止めるなんて、やっぱりおかしな夏である。この先の長い夏が思いやられる。

　ワールドカップサッカーは、佳境に入ってきた。ベスト１６の戦いは熾烈であった。白熱した接戦が続き、延長戦も多かった。日本には、あの戦いはできないね、今のところ、と思った人は少なくないだろう。何だか決勝戦を何試合も見ているような、そんな毎日だった。でも、なんかこう、インテリジェンスを感じさせるプレーは隅に追いやられたような、何とも殺伐とした印象を残した。

　コロンビアのハメスロドリゲス選手は、その中でも、インテリジェンスを感じさせるプレイを、信じられないタイミングで見せてくれた。ウルグアイの４選手に囲まれた中の狭いスペースから、彼のスペースを見つけ出して、肩のあたりのトラップからそのままダイレクトで反転シュートを決めてみせた。そのスペースをチーム全体で編み出そうとしていたのであろうから、戦術と個人プレイの卓越さの融合だ。ハメスロドリゲス選手の、サッカー小僧ぶりは見ていて楽しく、もはや世界中で時の人となっている。サッカー小僧というものは、人々の目を奪うものだ。

　話変わって、うちの小学２年生の長男のサッカーである。先日も３年生の試合に駆り出され、同じ日の午後に行われた２年生の試合にも出てきた。もうへとへとである。連れ合いがビデオを撮ってくれるので、僕は出荷を終えて、２年生の最後の試合に駆け付けた。あれれ、奴はもう疲れ切っている。３年生の試合を２試合半、２年生の試合を１試合半、計約９０分近く走ったのである。彼のサッカー小僧が疲弊していた。

　ワールドカップサッカーで、日本選手は暑さ慣れしきれなくて、後半はばてていた。日本の気候自体は高温多湿を含んでいるのだが、日本のサッカーは高温多湿向けに整備されていない。夏ならば夕方の涼しい時間に練習や試合が多いだろうし、芝生も整備されている。であるから、そこで育った選手は、たとえば良い環境のひとつであるドイツなどでは活躍できるのであろうか？ （ただ、高校生までは、夏の暑い時間の試合も頻繁に行われる）。

　今回のワールドカップサッカーのように、高温多湿の気候中心で行われる場合には、日本の技術は発揮されにくいと思う。そうなると、個の力での勝負がポイントになってくる。ブラジルやコロンビアのサッカー小僧が、常にそのような環境にいるとすれば、個の力を毎日目の当たりにすることになる。一方、日本ではドングリの背比べの中から、エリートを選りすぐっている。

　長男は、へとへとになっても時折ドリブル突破を試みた。だが、疲れ切っていては、当然良い部分は発揮されない。そういえば、試合の前日、明日は試合だから練習しなくっちゃ、と言っていつもよりも気合を入れて練習していたようだ。それがいけない。サッカー小僧らしく、いきいきとサッカーするためには、休養も必要だ。どんなこともレベルの高い所を目指すことは素晴らしいことだが、楽しめなくなったらサッカー小僧が消え失せる。

2014年7月3日　寺田潤史

バックナンバーへ

ご意見、ご感想、お問い合わせは、下記よりどうぞお寄せください。

★　ひらく農園の野菜の入手方法

☆　このページの最初に戻る