季節は農繁期である。秋冬野菜の種播きや畑の準備で忙しい、それが秋の農繁期というものだ。出荷も相変わらずに忙しくて、多くの時間を費やしている。必然的に、種播きは夜遅くの作業ということになる。そしてまた、秋は行事の多い時期でもある。

　先の日曜日には、地元の４つの自治会連合会の敬老の集いがあった。どういうわけか、僕はビデオ係をしていて、今年で五年目だ。ビデオ撮影を苦にするようなことはなくて、時間のやりくりだけが農作業を圧迫するだけである。保育園児の歌と踊り、小学生のソーラン節、中学生の吹奏楽などの出し物は恒例化しつつあり、それはそれで撮影しながらでも楽しめるものだ。今年は、はじめて落語が加わった。話の内容と手、顔の表情、声が命の落語は、撮影する側としては、ズームアップなどの作業もあまり必要がなくて楽である。会の開場から、受付、中学生等による招待者の誘導、それらの出し物、閉会まで約３時間半、撮影は無事終了した。

　問題は、そのあとである。ハイビジョン撮影されたものをＤＶＤ規格に変換して、編集用のパソコンにコピーする。編集用ソフトに並べて場面ごとにマーカーをつけ、場面ごとのチャプター名を記入していく。ビデオ内容を確認するのは当然アナログである自分の眼であるから、時間を費やすのだ。それから、レンダリングと言って、ひとつのＤＶＤ規格ファイルにする。

　翌日には、今度はオーサリングソフトと言うＤＶＤメディアに焼くためのソフトで編集して準備をする。夜の作業とはいえ、種播きをしながらそれらをこなすのは、やはりたくさんの時間を費やすことになるのだ。そして、ＤＶＤメディアに焼くのであるが、ここで問題が発生した。パソコンに組み込んであるＤＶＤドライブがエラーを出したのだ。２枚のＤＶＤメディアは傷がついて使えなくなった。これはもう、ドライブが寿命である。慌てて、夜中にドライブを検索して、何がよくて安いドライブかを選び出し、すぐにアマゾンで注文した。

　翌日の午後には、新しいドライブが到着して、早速ドライブを換装。今度はエラーなく焼くことができた。しかも、早い。故障したドライブでは、ＤＶＤ２層メディアは２倍速までしか選択できなかったが、新しいドライブでは８倍速で処理できるのだ。２時間半のビデオは、１６分で焼くことができた。あとは、焼いたＤＶＤメディアにタイトルを印刷して、ラベルの印刷を行うだけである。

　それにしても、時間がかかる作業だ。アナログ時代に比べればとても時間短縮になってきているとはいえ、デジタルになって便利になると、余分な作業も増えているような気がする。一方、畑では、この頃は機械を使わない手作業のほうが気持ちよいと、強く思っている。草刈りなんて、草刈機よりも釜を使ったほうが断然気持ちよい。たくさんの面積では機械に頼らざるをえないのだが、人間の手足は本当に器用なもので、さらに手足を使うことが気持ちよさにつながっている、と強く感じるのだ。便利になればなるほど、人間は豊かさを失っていくような気がしてくる。本当に人間は進化しているのだろうか？言葉やエレクトロニクスで武装して、最先端を謳って踊らされているだけ、のような気がしてくるのだ。考えが必要だ。

2014年9月19日　寺田潤史

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