季節は蛇行している。昨日の朝早く、３時間で４５ミリの雨が降った。一晩で６０ミリあまりだ。強い雨であったが、名古屋方面では３時間で７０ミリほどの雨量で、地下鉄の浸水がニュースで報じられていた。長女の自転車を軽トラックに載せて駅まで送ったが、後の子供たちは雨上がりの登校だった。そのあと、いっきに湿度も気温も増してきた。

　雨上がりで、まだ曇った空、風も吹いているので、蚊も少ない。嬉々として、葉物類の苗の植え付けを始めた。湿った土に植え付けることができるなんて、こんなに幸せなことはない。とーと畑はぬかるんで入ることができないが、てーて畑は砂地であるから植え付けにちょうどいいのだ。小松菜に続いて春菊を植え、サニーレタス、フリルレタスを植え付けた。途中から湿度も気温もどんどん上昇してきて、夏のような気候になってきた。たくさんの蚊がぶんぶんといっせいに出てきた。

　長袖のつなぎ服、ビニール手袋をして、養蜂家のかぶるような顔をネットで覆う帽子をかぶれば、鬼に金棒である。少しの工夫としては、養蜂家の帽子の下に、普通の帽子を二つかぶって、ネット越しに耳を蚊に刺されることを防止する方法をとった。普通の帽子のつばを耳を上に来るように二つかぶるのがこつである。蚊対策を取るか取らないかは、気持ちよい作業になるかならないかの重要な分岐点である。面倒と思えるような作業は、気持よく行うことが面倒と思わないやり方だろう。

　この頃は、夜中に起きて何かを片付けることが多い。夜中というよりも朝早くといったほうがいいかもしれない。たとえば台所で洗い上げをしたり、納屋で事務仕事をしたり、ギターを弾いたり創作活動をしたり、である。台所で、麦茶のボトルが二つ空になっていることも多い。子供たちが麦茶を飲んで、次の作りおきをしないで寝てしまうのである。一瞬、面倒というような煩雑な考えがよぎるのだが、ボトルを洗って水を注ぎ、麦茶パックを入れて冷蔵庫に入れる簡単なことである。それだけで、朝起きた子供たちが気持ちよく麦茶を飲むことができるのである。それが夕方であれば、「おーい麦茶作れー」と声をかけるだけのこと。皆が寝ている時には、誰かが喜ぶことをするほうが気持ちいいのだ。

　人のために仕事をする、それはそれで楽しいことでもあるけれど、自分は何をしに生まれてきたのだろう？ということを考えると、それだけでは片手落ちのような気がしてくる。手落ちというのは、仕事を残すという意味で、つまり自分の仕事が残っているということだ。仕事というものは、数限りなく存在するが、自分のことであれ、人のこと、家族のことであれ、どちらも楽しく気持よく仕事を遂行していけたら、と思うのだ。その楽しさというものは、例えば自分を深め、対象となるものも深めなければ楽しさにつながらない。苗の植え付けであれば、自分の作業性を深め、対象となる苗のことを深く考える必要がある。子どもとのことであれば、例えば長男に対して自分がどのようなボールを蹴ったならば、長男はこの先楽しんでボールに食らいついていくだろうか？などを考えることだろう。それは楽しいことだ。

2014年9月26日　寺田潤史

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