十二年目の小学校の運動会が終わって、秋の行事もひと段落。台風の影響もあって、出荷する野菜が少ないので、運動会の日は仕事を休んだ。半年ほどは休みを取っていなかったのに、今月はお祭りに続いて３日も休んでしまった。収穫があるということは休みがないことを意味し、収穫が少ないということは仕事を進ませることもできるし、休みも取れるということになる。しかし、それでは収入がまた減ることになるのだから、生きていくのも大変だ。

　運動会では、小５の四女と小２の長男が、珍しく徒競走で２位と１位でゴールした。長男はリレーにも出た。上の３人は運動会で１位も２位もとったことがなく、運動会を見る側としては張り合いも少なかった。今年は張り合いがある、と言うとそうでもなく、１２年も連続して小学校の木陰にシートを敷いていると飽きもするもの。だから、今年は図書館で借りた津村記久子さんの本を持って行った。本を読むには気持ちのよい風も吹いてくれて、しばしの休みを堪能できた。

　弁当を食べたあと、二人の出番が終わってしまったので、早めに運動場を後にして、市の体育館まで車を走らせた。中学の卓球の地区新人戦団体カテゴリーでの試合に、三女が出場するのだ。三女は小学校５年から、友達に誘われて卓球少年団に入っていた。これがまた、ナンチャッテ卓球少年団で、遊びに行っているようなものだった。その延長で中学に入って、仲間たちとそっくりそのまま卓球部に入った。ナンチャッテとはいえ、卓球未経験の同級生に比べればマシであるので、すぐに試合に出ることができたようだ。

　その卓球部の試合を、はじめてビデオに撮ることにして、体育館に乗り込んだわけだが、そこには相変わらずの悪たれ軍団が、平時と変わらない風情で練習をしていた。ちょうど試合前の練習の時間で、体育館の二階にビデオカメラを設置すると、三女を始めとして何人かが遊びに来た。緊張感も何もあったものではない。試合が始まると、三台の卓球台でシングルス２試合とダブルス１試合が同時に対戦する。ビデオは、３台とも映してあげないと全員の試合風景を撮れないから、何とも味気のないビデオの撮影になった。しかも、彼女たちは、どうにもナンチャッテそのままの試合をしている。相手が強くなかったから、あっさりと勝利してしまったのだけれど…。

　ホルンの演奏家になる、とか、サッカー選手になる、などと大それた事を考えるならば、日々是真剣勝負になるけれど、そうでなければ親としては応援しがいもない。三女はパテシェール志望だから、卓球はあくまでただの部活と割りきっている。それでも練習をして強くなりたいが、周りの仲間が真剣にならなければ、モチベーションは上がらない。ため息の体育館だった。

　夜は、種播きをするつもりだったが、予約しておいたiPhoneがソフトバンクショップに入ったので、機種変更して、なんやかんやと時間を費やして種まきできず。今まで使っていたiPhoneはそのまま連れ合いが電話として安価に利用するが、ほとんど使うのが三女である。学校から戻ればiPhoneでLINEとTwitterで友達と会話。あるいは、お菓子作りの情報をネットで集めている。典型的な現代っ子も、いつか姉たちのように変わるだろうか？変わりつつある次女は早起きして学校に行き、コンクール用の油絵を描いているようだ。

2014年10月23日　寺田潤史

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