新学期が始まった。と、書くのは例年四月五日以降である。今年は、長女の大学の入学式が四月一日なので、すでに始まっている、というわけだ。子供を大学に出すことも初体験で、一家から子供が一人いなくなることも初体験である。すぐに慣れるであろうことも、その変わり目はやはり新鮮だ。長女のいた部屋のスペースに長女とその所有物がなくなり、おやつでも食事でも、食材の割り当ての率が変わることは、我が家にとっては大きなことになる。

　昨日はイチゴのショートケーキ、今日はチョコレートいちごのショートケーキ、と三女の作ったものを、六等分する。それだけでも大きなことである。今までは、七等分できなくて八等分していたものを、六等分にするわけだから、ひとり頭の食べる量が増えることになる。うどんの玉を買うにも、七玉買っていたものが六玉で済む。それら、数学的物理的な変化はわかりやすいものだ。そうでない部分、例えば今まで長女が進んでやっていた部屋の模様替えなどは、誰がやるのだろう？

　僕も若い頃から部屋の模様替えが好きだったが、それは長女にいつの間にか受け継がれていた。だから、子供部屋の模様替えは進んで長女がやっていた。その長女のスペースがポッカリ空いて、その部分を利用しようとするものがいない。次女も三女もそのまま放置している。そのこと一つとっても、兄弟姉妹のキャラクターを窺い知ることができる。とりあえず、しばらくは放っておくことにしよう。

　サッカーでもそうだが、戦術ありきで人を当てはめようとするか、人ありきで戦術を編み出そうとするか、大きな違いが出る。ドイツ・ブンデスリーガのドルトムントのＦＷレヴァンドフスキーがバイエルンに移籍して、その代わりのＦＷを当てはめようとしてうまくいかないように、人ひとりにはそれぞれの特質がある。今まで長女がやってきたことを誰かに託すことはできないし、残ったもので空間を新しく構築していくのがよい。それには少々時間が必要かもしれない。

　残った４人の子どもたちもクラスの担任が変わったり、クラス替えがあったりで、戦々恐々とするだろう。子供たちにとって、どんな友達と一年を共有することになるかは大きなことだ。特に、次女、三女、四女は修学旅行のある年なので気になるのは致し方ない。それは、人生のあとあとまで重要な流れになるだろうけれど、流れはとっとと受け入れて、自分の居場所を見つけて前に進むことが肝要だ。親は、そのように導くだろうし、声を掛けていくだろう。

　畑の野菜は、作付計画を見なおして、新しいサイクルに入ろうとしている。台風にやられっぱなしではどうにもならないので、台風が来ても大きく落ち込まないように準備を進めている。ズッキーニや南瓜も４月になる前に植え付けることができたし、葉ものの植え付けも進んでいる。寒かった冬の分まで取り返そう、というわけだ。暖かいということは嬉しいもので、葉ものの収穫にも時間をそんなにかけなくてよくなってきた。葉ねぎやインゲンやスイートコーンも植えつけなければいけないし、空芯菜やバジル、モロヘイヤなどももう少しで植え付けだ。やるべき仕事は山積みだが、もう寒さに凍えることはないだろう。

2015年4月2日　寺田潤史

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