５５歳、と書いて、ほんとかいな？と今更ながらに感じる。このところ、収穫や出荷が忙しくて、相当に疲れている。足裏もふくらはぎも、腰も肩も腕も、すべての筋肉が疲弊している。忙しいからこそ、子供たちのあれこれかかるお金を稼げるのだから、嬉しいことではある。疲れるわけだ、５５歳だもの。

　今日も出荷の嵐で、夕方５時半に納品から戻ると、長男が手ぐすね引いて待っていた。ナイター練習のある日なので、その前のほんの少しの時間しか僕とサッカーができないのだ。疲れていても、サッカーシューズを履けば疲れを感じないところが危険だ。６時までサッカーをして、もうあとは事務仕事で、今日は休養することにする。と、言ってる傍から、四女のピアノを見なければいけない事に気付く。これって、二週間前と同じだ。だいたい、５５歳になろうとするのに息子とサッカーをやって、１対１でふらふらになるまでやる、ってそんな人いる？と思う。しかも、毎日。でも、そうしないと、息子のディフェンスの仕方とか、なかなか指摘できないのも事実。昨日は、草刈機を回したあとだったので、すぐにバテバテだった。

　サッカーの相手をするのは、小学校時代だけになる予定だから、あとまだ４年近くある。それまで、音楽は封印するほかはないのだろうか？時間的に無理なのだ。それでも、夜ごと、ギターの鍛錬だけは欠かさないでいる。ギターの技術は上がることはあっても、下がっていることはないと思う。ただ、創造性を積み重ねる時間がないのだ。創造性を発揮できないと、詩を書くという行為も減ってくる。昨日は、納品の車の中でアイディアができたので、iPhoneで書き留めておいた。最後のアルバムを作ってから、３年くらい経つのかな？１０数曲は書き溜めている。こういうことを真顔で書くと、頭がおかしいと思われるのが落ちだが、長男のサッカー選手になりたい夢を応援するくらいだから、相当に頭はイカレテいる、と思っていただいていい。５５歳にもなると、どう思われようとお好きにどうぞ、の感覚になる。

　２年くらい前だったか、新年の抱負に、子供を育てることが目標、のようなことを書いた。まさに、その気持ちはまだ変わっていない。長女だって、あれからがんばって音楽大学にどういうわけか行くことができているじゃないか！２年前、つまり長男が小学校に入学したばかりの頃は、サッカー選手になりたい、なんて言っていなかった。それが今では、具体的な道筋をイメージしながら、その無茶なサッカー選手になるべく親子で頑張っている。そのような親になるつもりなど、微塵も考えたこともなかったのに…。それも子供を育てる一貫であることにしよう。

　三女だって、パテシエになるための修行をするべきか、を真剣に考えるとは思わなかった。次女は、相変わらずに漫画家と芸大進学の狭間にいる。すべてが、無理じゃねぇ？と言われるような世界に首を突っ込んで、それを親が応援するという暴挙に出ているわけだ。でも、思い出す。長女が「ホルンで高校へ行きたい」と言ったのは、あの震災から二か月後のことだった。あの震災は、子供に好きなことをやらせよう、という暴挙を真顔に変えさせるほどのものだったのだ。そして、あっという間に５５歳。自分のことは、楽しみに。

2015年5月28日　寺田潤史

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