雨だ。冬の雨らしく、しとしとと降っている。予報は、これから強く降る、と出ている。寒波のあとは４月下旬並の暖かさがやってくるとの予報もあったが、この雨は案外冷たい。真冬であるから、これでも暖かな雨かもしれない。野菜たちにとっては、恵みの雨である。前回の雨で井戸水を止め、寒波が来てまた畑が乾いていたところだった。

　あっという間に１月も終わりに近づいた。今年が始まったばかりなのに、またひと月を過ごすことができた。昔は、とりわけ農の世界に入ったばかりの頃は、１月といえば骨休めの時期だった。子供もいなかったし、時間がゆっくり流れていたようにも思う。この頃は、１月も全力疾走である。一人ひとりの子供に関わる時間は、相変わらずに少なくない。長女には、昨日野菜を送った。１月は出費が多かったから、せっせと自炊して節約しているようだ。今月二度めの宅配便である。食事を作ることが自分の一部になってくれれば、ホルンの時間をさらに大切にすることに繋がると密かに期待している。

　次女の自転車がまたパンクした。寒い夜に確認したら、虫ゴムが破けていたので取り替えたが、朝になったらまた空気が抜けていた。納屋で火を焚いてパンク修理したが、また空気が抜けたので、これはもうチューブとタイヤの両方交換しなければダメだと観念した。ホームセンターに自転車を持って行くと、修理担当のおじさんがいろいろ説明してくれた。トラブルなしで長距離を毎日通うなら、チェーン式でなくてベルト式がノートラブルだとのこと。後輪タイヤも昨夏に自分で交換したが、そちらも時間の問題であると言われた。とりあえず今回は前輪のタイヤとチューブを頼んだ。なんといっても、次女は片道１時間をかけて高校へ通っているから、週に六日で１２時間、月５０時間は自転車に乗っていることになる。年間にして８千ｋｍほど走るのだから、タイヤもチューブもダメになるのも無理はない。翌日、家に戻った次女は、すごく乗りやすくなってよく走る、と言う。前輪だけの交換でそうなのだから、また様子を見て後輪も交換してあげなくちゃ。

　三女の就職の最終面接には、明日行くことになった。クラスの中で一人だけ受験しないというシチュエーションも、本人にとってはまったく嫌な状態ではないらしい。働きながら製菓衛生師の資格を取りたいと、参考書を買ったばかりだ。その内容をちらっと見て、もう興味津々。好きなことであるから、熱心さが学校の勉強とは雲泥の差である。相変わらずに友達から依頼されたケーキを、せっせとつくる毎日だ。

　子供たちのことばかりに関わってもいられない。畑の野菜のことはもちろん、土地のこと、お金のこと、出荷や通販サイトのこと、などやるべきことに追われている。夕方、笹林の笹が侵食してきたので切っていると、長男がドリブルの新しい練習を考えたと言ってくる。ああ、それはいい、しかしもう三回フェイントを入れるドリブルにしよう、と四人抜きのドリブル練習に改良する。そしてまた笹を切る。近くで長男がドリブルをする。ああ、それじゃだめでしょ？こうクィッと、などとまた身振り手振りで伝えて、また笹を切る。

2016年1月29日　寺田潤史

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