今年も誕生日が過ぎて、５６歳という未知の領域に入った。朝から忙しい、誕生日であることすら忘れていた日常であった。先週の腰の痛さは、ぎっくり腰体操の日課のために、とうとう脱却できた。今朝のズッキーニと南瓜の受粉作業では、思いっきりかがんで雌花を拝んでも、腰の痛さは感じないくらいだった。５６歳という年齢は、そのことは真実であるけれど、意識しなければ自分自身であるだけの話である。子供の頃と何ら変わらない自分がそこにいるし、社会的に家族的に考えを巡らせば、５６歳そのものであろう。ただ、からだのことは、だんだんと自分で自分のからだを信用できなくなってきていることは確かだ。

　夕方、ようやく草刈ができた。ここ数日、草刈をしたくてもできなかった。朝の受粉作業と出荷で時間を使ってしまうし、腰も痛かったので、とても草刈りまで手が回らなかったのだ。夕方は、長男との日没サッカーがあるので、余力がなかった。今日は、長男が疲れからか咳が出て、学校を休んだ。そのために、アカデミーも欠席したし、夕方のサッカーもやらずに済んだ。夕方の時間が、ぽっかりと空いてくれたのだ。

　夕方は、風が吹いてくれて、涼しかった。炎天下の草刈作業は大変なものだが、今日は比較的楽だった。サッカーと比べれば、とても楽である。サッカーはやっていて楽しいし、苦痛には感じない。しかしながら、伸び盛りの子供と対峙するには、体力が必要だ。同じ時間帯にサッカーと草刈をやってみるとよくわかる。草刈ならだれでもできる作業だが、サッカーを５６歳でやることは誰にでもできることではない、と。特に絶対に負けたくないような１対１を２０本以上やってみれば、その強度は尋常でないことがわかる。強度と書くのがいいのかちょっと表現が見当たらないのだが、インテンシティーを伴った戦いと言えばいいだろうか？

　この頃は僕が負けることが多いが、体調がよければじゃら勝ちすることもある。長男が言うには、「お父さん、だんだん強くなってる！」ということだ。歳をとったって毎日やれば上達するのかもしれないね。そんなことは誰もほめてはくれないし、ほめられるためにサッカーをやっているわけでもない。必要に迫れてはいるけれど、いくら長男の上達のためとはいえ、サッカーが好きだからできるのだろう。

　僕は、一年のうちで３５０日以上は、靴下を軍足で過ごす。親指一本と残りの指をまとめた、いわゆる親指ソックスである。その軍足の左足の親指の付け根部分が、ここ数年やたらと破ける。それは、サッカーのせいだった。左足で踏ん張って右足を振りぬくことが多いから、というわけだ。そのために、サッカーシューズもすぐに底に穴が開く。夕方の短時間の使用なのに、３か月程度で穴があくのである。コンクリートの上ということもあるだろう。安いフットサルシューズを使うのだが、まさか親の靴にお金がかかるとは思いもよらなかったことである。左の靴の穴があいても、そのまま使っていれば右足もいつの間にか穴があいているという具合だ。

　子供のサッカーと向き合う、という部分を５６歳で経験させてもらうとは、本当に先のことはわからないものだと思う。わからないから、面白いのだろう。

2016年6月2日　寺田潤史

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