長男のチームは結果からすると、準決勝で化けの皮が剥がされた、と言っていい。準決勝、３位決定戦、ともに負けたからである。しかし、大敗したわけでもなく、０対２、０対１というスコアから見ても、化けたのは少しサッカーチームらしくなったからであろう。競り合いの面白さが見られるような試合になってきたのである。

　前期最後のアカデミーが準決勝の数日前にもあって、やはり対戦するチームの子から「絶対に負けないからな」と言われた長男。実際に準決勝では、長男に対するマークがかなりきつく、相手は何度もファウルをしてまで長男を止めた。ようやくマークされるようなレベルの試合に勝ち進むことができた、と言えるだろう。準決勝では、長男のチームメイトもボールに食らいつく姿を見せはじめて、チームが成長しはじめたことが見て取れた。決勝トーナメント進出から勝ち上がるに連れて、少しずつたくましくなっていく姿は、チームメイトの親御さんたちもその目で確認できたはずだ。

　しかし、準々決勝から３位決定戦まで、３試合で１点も取れなかった。準決勝ではチームとして１本もシュートを打てなかったし、３位決定戦では長男のシュートも１本もなかったのである。それには、明らかな理由がある。長男が守備に奔走して相手ゴールに迫ることができなかったということと、長男のスルーパスをチームメイトが受けることができなかった、という２点である。ということは、それらを改善すればさらにチームは強くなれるということでもある。とはいえ、個人の能力を皆が上げようとしなければいけないわけだから、毎日の練習をしなければダメであることに変わりはない。何と言っても、秋の県大会に出るということは、テレビ放送されてしまう場面も予想され、恥ずかしい試合はしてほしくもないのである。

　そこで、今回の大会のハイライト動画を作ることにした。シュートシーンや良い守備の場面を集め、スルーパスを受けることができなかった場面もいくつか入れて、メッセージも書き込み、アニメ主題歌のテンポ良さに乗っかって４分程度にまとめたのだ。今大会の試合すべてと、昨年放送された県大会の１時間番組を合わせて収録し、１枚のブルーレイディスクに収め、チームメイトにプレゼントすることにした。少し手間がかかったが、僕にできることはこれくらいであろう。あとは、長男のレベルを毎日の練習であげていくことぐらいだ。

　準決勝、０対１で負けている場面で、チームメイトが相手ゴールキックを追いかけて競り、粘り強く対処したところで長男がボールを奪い、そのままドリブルして相手ディフェンス４人をボディフェイントでかわしてシュートした。ところが、そこに別のチームメイトが前方に現れて、シュートしたボールに当たってボールがゴール枠からそれてしまった。その場面にこそ、このチームの成長と課題が内包されているようにも思う。それは決して運だけで勝ち上がったものではなく、積み重ねを応援すれば自然と結果はついてくるものである、ということ。そしてサッカーをうまくなりたいということは、どれだけ良い試合をたくさん見ているか、というサッカーが好きということと密接に関わってくる、ということだろう。

2016年7月22日　寺田潤史

バックナンバーへ

ご意見、ご感想、お問い合わせは、下記よりどうぞお寄せください。

★　ひらく農園の野菜の入手方法

☆　このページの最初に戻る