今日の風は冷たく強かった。時折１８メートルを超える風が吹き荒れる畑では、体感温度は相当に低い。穏やかな気分で野菜を収穫できるような状況ではない。さっと収穫して、風のない日の当たる場所に移動して、収穫した野菜を調整する。野菜たちを守るネット類も飛ばされそうで、念入りに留め具を増強して回る。

　ここしばらく、子供のことばかり書いた。インターネットでの買い物も、食材とか暖房具、故障したテレビの買い替えなどのほかは、子供から頼まれたものばかり。仕事以外の自分のものを注文したのは、去年の三月に全額ポイントで仕事にも使うバッグを買ったくらいであろうか。衣類だって、軍足など一年に３千円も使わないだろう。ああ、長男のサッカー相手に駐車場で履くフットサルシューズだけは、一年で三足から四足履きつぶしたかもしれない。

　連れ合いは、インターネットでブログなどを見る傍ら、洋裁の布をしきりに閲覧しているようだ。たまに、楽天などでポイントがたまった時、「何か布でも注文する？」と聞くと、「たくさん買いだめしてあるから」と遠慮をする。なかなか洋裁で連れ合いが自分の服を作る時間もとれないので、布はたくさんあるのだろう。特にこんなに寒い時期には、繕い物の時間くらいでエネルギーが充実しないのかもしれない。

　僕は、子供のサッカー相手の時間と疲労で、ほそぼそとギターの練習を継続してきたくらいだ。創作まで手が回らない。特にこの２、３年は顕著で、３年前に作りかけた曲が何曲かアレンジも発展させないでそのまま放置してある。困ったものだが、どうしようもない。ただ、何年か前から、アコースティックギターを一つほしいと思い始めてはいる。僕の手元にあるギターは、３０〜３５年前に購入したオールドのギブソンＳＧとカスタムメイドで作ってもらったストラトキャスターという２つのエレキギターと、オベーションのクラシカルギターのみである。

　アコースティックギターは、中学の時に安いものを一つ買って、高校の時にＫヤイリという日本産のものを買った。東京にＫヤイリを持って行ったが、バンドではエレキばかりで、あまり弾かなくなってしまったので大学の友人にあげてしまった。それ以来、アコースティックギターを所有していない。この頃、いろいろとインターネットでギターを物色してみるようになった。

　曲やギターの技術にばかり頭が行ってしまっていたので、ギターの作られた構造のことなどここ数十年のブランクがあって、インターネットは情報過多であった。それをゆっくりと眺めていくと、おいそれと安いギターに飛びつくわけにはいかない自分に行きつく。自分の持っているギターが素晴らしいものだし、オベーションのクラシックギターなどは弾き倒してリペアの名人に修理してもらって再生しているので、今もって素晴らしい音を奏でてくれるのだ。調べれば調べるほどに、安物買いはできないなと思うし、オベーションクラシカルに愛着が増す。

　連れ合いが布を閲覧しているだけの気持ちが、何となくわかるような気がしてきた。見るだけでも幸せになれるのかもしれない。さらにギターを見れば見るほどに、オベーションクラシカルを夜中に弾きまくる。いったい、僕はどこに行くのだろう？

2017年2月2日　寺田潤史

バックナンバーへ

ご意見、ご感想、お問い合わせは、下記よりどうぞお寄せください。

★　ひらく農園の野菜の入手方法

☆　このページの最初に戻る