寒い寒い冬に、先が見え始めてきた。春の日差しはすでに感じている。だからといって、一足飛びに春は来ない。三寒四温とはよく言ったものである。日中は暖かい日差しでも、夜にはしっかりと冷えてくる。そして、急に春の陽気となったかと思えば、また冬に逆戻り。それが春に向かうということであろう。

　寒い寒いと言ってきたが、本当に寒い冬だったのだろうか？実は、昨日、久しぶりにサッカーボールを蹴った。毎日のように長男とサッカーをするのが日課になってまる４年。２週間半もサッカーをしなかったのは初めてのことである。長男が足の怪我をしたのだ。１月下旬の土曜日、長男は５年生のサッカー大会一日目に午前中出場して、午後は自動車屋さんの展示会に皆で出かけた。そして、夕方、また練習をしだしていた。僕は脚立に乗って、庭木の剪定をしながら長男の練習を見守っていた。

　板を置いて壁に見立て、ドリブルからのパスの精度を上げるために、壁にボールを当てる練習をしていたのだ。僕は脚立の上だった。そこへ「あっ」という声と何やらうめき声。ああ、またやりやがったか？とそのまま脚立の上に居た。しかし、相当に痛がっている。左足でのパスを壁に当てようとして、コンクリート地面を蹴ってしまったようだった。シュートではないから目いっぱいのキックではないはずだが、なかなか痛みが治まらない。

　練習をやめて家に戻らせたが、時間が経っても痛みが治まらないようだった。翌朝になっても歩けない。５年生のサッカー代表の親御さんにメールで知らせる。今日の２日目の試合は辞退すると。まさか、骨折でもしたのかな？月曜日の朝、一番で近所のお医者さんに連れて行って、レントゲンを撮ってもらった。多分骨折ではない、ということだった。ほっ、骨折は免れたか。それから今週の火曜日まで、学校の登下校は連れ合いの送迎となった。第３中足骨の付け根あたりの捻挫と言っていいのかな？いつもの膝などの打撲と違って、なかなか治らない。

　春という光明と、怪我が治ってくるという光明は、どこか一致するところがある。未来が明るいと感じることは、もしかすると人間が持ってうまれた才能の一つかもしれない。怪我をしてもあまり不安にならない長男もまた、楽天家なのだろう。

　２週間あまり経って昨日から、学校への登下校を歩いて行くことができるようになった。どの程度の痛みなのかを確かめるために、ゆっくりと僕がボールを蹴って、トラップを試みた。長男は、こわごわと久しぶりのボールの感触を確かめていた。さらに一日経って今日の夕方には、こわごわ感はかなり少なくなったようだった。ようやく回復のめどが立った。 久しぶりにサッカーをやってみると、ちょっと動いただけでかなり暑さを感じた。この２週間、夕方の寒さを大袈裟に感じていたのは、サッカーでカラダを動かしていなかったからだとわかった。からだを動かしているかどうかで、冬という季節の捉え方が変わってくるのである。大人と子供では季節の感じ方は違うが、カラダを動かしているかどうかで大人でも季節感が変わってくるのだ。

2017年2月16日　寺田潤史

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