ゴールデンウィークだったという実感があまりない。先程、僕の妹が東京から大学生の子供を連れて寄ってくれたので、少し実感がわいたかな、という程度。お天気の良い日が続いたし、鯉のぼりの泳いでいる姿もあちこちで見かけた。仕事していれば実感がわかないのも当たり前か？のんびり温泉に浸かりたい、というのが本音ではあるけれど…。

　妹が立ち寄ると電話が今朝入って、午後収穫をしていると電話が鳴る。長男のサッカーの試合の結果報告かな？と思って電話に出てみると、連れ合いが長男を連れて病院の待合室にいるというのである。長男の保険証を持ってすぐに出かける。大きな病院の救急外来である。いつもサッカーアカデミーなどでよく利用していたエコパの前を通ると、反対車線は車の列で大渋滞だった。これぞゴールデンウィークらしい光景か？と思いながら素通りする。病院につくと、ユニフォーム姿のままの長男の元気なさそうな顔がある。

　聞けば、試合中にボールが高く上がったのでそのボールの真下にいた長男がヘディングしようとジャンプしたところへ、チームメイトの子が勢いよくヘディングに来た。その子の頭が長男のお腹に入り、そのままうしろに倒れたらしい。その倒れ方が周囲の人をして、頭の怪我に繋がりそうに見えたわけで、すぐに病院に行ったほうがいい、ということになったらしい。長男は意識もあり、頭は自分ではなんともなくてお腹が相当に痛かったらしい。病院でもまだお腹が痛い、と言っていた。

　診察室に呼ばれると、三〇代くらいの小太りの医者が、盛んにパソコンのキーボードを打っている。ちょっと話をしては、また長いことキーボードを打つ。大きな病院は久しぶりだ。この頃のお医者さんはキーボードも手早く打つことができなければいけないのだなぁ、と１０年くらい前だったか大きな病院で同じことを思ったことを思い出す。長男のお腹をエコーで診てもらって、後頭部の様子もどうやら大丈夫らしい。２，３日様子を見る必要はあるけれど、何もなければよさそうだ。

　病院に着いて我ながら自分が深刻にならないことに、へーっと思った。長男の顔がいつもよりなんか元気がないのに、僕の掛ける言葉は、「これでサッカー選手は諦める気になったか？」とか、「頭を打って大丈夫ならこれを期に頭が良くなってくれたらラッキーじゃないか」などの悪態しかでてこない。もっとも、長男は長男で、僕が病院に着くとすぐに僕のiPhoneをぶんどって、清水エスパルスとガンバ大阪の試合の途中経過を確認したのだった。

　スポーツ選手になるなんていう夢を追いかけることは、こういうことをこれから何度も経験しなくちゃいけないのだなぁ、と覚悟させられる。このところ怪我ばかりで、怪我しない場所はないのではないかと思うが、幸いなことに怪我の程度は重くない。怪我をすることが運が悪いと思うこともできるが、深刻な怪我でないことは運の良いことにも思えてくる。さて、これから野菜の配達に出かけて、家に戻ったらまた長男の試合のビデオを見る楽しみがある。もし、サッカー選手の夢を長男が諦めたら、それもできなくなるのだろうな。

2017年5月5日　寺田潤史

バックナンバーへ

ご意見、ご感想、お問い合わせは、下記よりどうぞお寄せください。

★　ひらく農園の野菜の入手方法

☆　このページの最初に戻る