長男が入院して、明日でまる二週間になる。昨日、担当医と話して、明日の退院が決まった。手術することなく、自然治癒力によって、すい臓が修復されてきたようだ。点滴にかなりの水分を含ませて、たまった液を洗い流す、というような治療方法であった。だから毎日何回も大量のおしっこが出る。その量を毎回量っていたようだ。昨日までの１２日間で、僕の運転で病院まで往復が１１回。連れ合いは助手席で９回。往復で最低４時間が費やされた。最低２〜３週間の入院が必要、と言われて、その最短時間で退院できそうなことは、ありがたい限りである。

　入院５日目から、お茶を飲むことができるようになり、少しホッとした。水分も食事も摂れないのは、本人もつらいが、見守る方も先の見えない気分になる。６日目にはおかゆであるけれど、半量の食事を摂れるようになった。入院した日に１３００まで跳ね上がったアミラーゼという消化酵素の数値が、２６０ほどまで順調に下がってきたのである。

　入院９日目には点滴の量を半分に減らされ、１０日目に点滴は外され、おかゆではなくて通常食を食べられるようになった。こうなると、傍目にはほとんど病人には見えない。シャワーも自分だけで浴びることができるし、食事は他の小学生の患者と一緒に食堂で食べることができるようになったのだ。

　体重は減った。大量のおしっこを出すことと、点滴だけの生活で３kgも体重は減った。そして、筋肉もなくなってしまった。退院してからの生活の中で、学校に通いながらカラダをリハビリして少しずつ元に戻す、これにどのくらいの時間がかかるだろうか？しかし、その不安は、入院したばかりの先の見えない不安と比べたら、天と地の差がある。手術しなくてよい、それだけでもなんと嬉しいことだろう。

　長男本人にとって、今回の入院は、人生で最大の転機となったと思う。学んだこと、体験できたことは限りなく多いだろう。病院で治療に当たる若い医師たち、看護師の方々、そして患者は赤ちゃんから１８歳以下の子供たち。それら多くの未知の人々をその目で見て接することができた、そのことは今後に大きな意味を持つだろう。また、父と母のいない離れた場所に、一日のほんの１時間だけの面会というシチュエーション。回りの患者である子供たちが、同じような境遇であるから、我慢も覚えたかもしれない。そして、食べられること、飲むことのできる幸せ。

　しかし、あわてないでゆっくりとカラダを戻していく必要もある。幸いなことに、入院のおかげで足腰の各所の痛みは全てリセットされた。サッカー脳自体は変わらないと思うが、カラダはまっさらの状態から出直しである。骨折して数ヶ月サッカーができないことよりも、精神的には楽かもしれない。下手をすれば、すい臓を持病として抱え込むというリスクだって考えられる。それらいろいろなことを考えながら、工夫して出直すのだ。

2017年5月19日　寺田潤史

バックナンバーへ

ご意見、ご感想、お問い合わせは、下記よりどうぞお寄せください。

★　ひらく農園の野菜の入手方法

☆　このページの最初に戻る