梅雨という概念は、もう今は昔のことなのか？いやいや、「６月６日に雨ザーザー降ってきて…」という唄の通り、梅雨という季節は、日本に住む人にとって、季節と季節をつなぐ大切な時期であることは言うまでもない。季節が周期的にやってきてこそ、人が地球とうまくやることの何千年の知恵を受け取り受け渡す、継続性を府に落とすのである。

　だいたい、梅雨という言葉、これは梅の実の収穫時期であることが関係深いであろう。ちょっと調べてみると、梅雨という言葉は、江戸時代に中国から入ってきた言葉で、それ以前は五月雨（さみだれ）と言っていたそうな。旧暦の５月である。松尾芭蕉の句「五月雨をあつめて早し最上川」とあるくらいであるから、梅雨という言葉は案外新しいのかもしれない。

　その梅雨に、ここでは雨の降った日が４日か５日ほどである。その中の一日だけは１４０ミリ近い雨が降った。そしてまた晴れの日が続く。そう思っている矢先に台風である。しかも予想コースはどんどんと南下して直撃コースになった。ただし、このけったいな梅雨であるから、台風も影響を受けて、あっさりと南の海上を足早に行ってしまった。風は吹かないで、雨を２０ミリ程度もたらしてくれた。ところが、その台風の翌日、台風一過とはならないで、また雨模様だった。それから、山陰、九州で大きな被害が出た、今回の線状降水帯という聞きなれない積乱雲がもたらした豪雨である。

　梅雨のさなかに、こちらは晴れ、九州はまだ豪雨が続いている。梅雨前線の形が例年とは違うように思う。僕たちは、いつの間にか真夏となった畑で、青しそ、胡瓜、モロヘイヤ、空芯菜といった夏野菜たちをひたすら収穫している。かぼちゃの収穫も終りに近いし、ナスやししとうの収穫も始まっている。オクラの花はまだだが、花の咲くのも時間の問題であろう。気候がどうであれ、やることは変わらない。ただ、ニュースで見るあの九州の被害の惨状は、震災と変わらないくらいの惨状で、やりきれない思いになる。僕たちは野菜の収穫をすることができている、だからこそただひたすらに収穫するのである。

　夕方、長男はサッカーの相手をしてくれという。「まだ仕事が残っている」と言うと、「シュートの練習は毎日しなきゃいけないの」と自分で決めたことを手伝ってくれと粘る。いつもなら「一人でやれ」と言って仕事に戻るのだが、気持ちを切り替えて、要望にはこたえてやれ、というような声に従うことにする。やりたいことは応援する。

　シュート練習と言っても、止まったボールを蹴るのであれば一人でできるが、ボレーシュートの練習は一人でできない。僕がボールを動かしてからセンタリングし、長男は走り込んでシュートする。ヘディングシュートもありだ。ゴールは自家製の鉄のゴールで、フットサルくらいのゴールの大きさだ。しかし、キーパー代わりに真ん中にコンテナを縦横３段に積んである。つまり、左右と上部しかゴールは入らないというわけだ。１５点勝負で、シュートの入らない長男　対　シュートを決めた長男の戦いで、だいたい毎回接戦になる。１セット３０本は蹴るわけで、３セットもやればこちらも汗になる。梅雨の湿度は疲れるのだ。

2017年7月7日　寺田潤史

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