台風１８号が日本に迫っている。現時点の予報では、明後日の日曜日午後３時に愛媛県の宇和島市付近を９５５ヘクトパスカルの中心気圧で通過し、瀬戸内海から中国近畿地方、日本海へと抜ける、とある。予想はあくまでも予想だから、まだまだこちら方面を直撃する可能性も僅かに残している。覚悟は必要だ。

　この台風の影響で、明日と明後日は雨である。この雨を利用して、今日は露地に種をたくさん播いた。菜の花、白菜、かぶ、水菜、ルッコラ、小松菜、べかな、大根。トラクターにも乗って、夕方の僅かな時間にそれらを播くのは、骨の折れる事だ。ローラーの付いた４条播きの手押し播種機を押して、７０メートルを往復する。７０メートルを２往復、それを６うねプラスアルファで、１８００メートル程、機械を押して夕暮れと戦うのだ。疲れるわけだ。サッカーとは違う疲れだ。

　一方、昨夜は、納屋で種播きトレイに白菜や菜の花の種を播いた。葉物類もこれからまた週末に納屋で種をまく予定だ。なぜ、同じような野菜を露地で播くことと苗作りのために別々に種を播くかといえば、この先の天候が読めないからである。突然寒さがやってくるのか、この先も暑いのか、今年の気候でははっきりとしたことはわからないのである。いろいろな気候に対応できるように、できるだけのことはしておきたい、という気持ちだ。

　昨夜、長男を寝かしつけて、その種を播こうとすると、iPhoneにメッセージが入る。長女からで、某有名交響楽団にトラ（エキストラ）で出演したが、まったくだめだった、という。正式な団員の代わりに臨時で演奏をするのがトラ。曲のテンポがどんどん早くなったりすることに、長女はついていけなかったらしい。なんだか弱気なメッセージが並ぶ。種播きの手を休めては、メッセージを送る。
「昔からそうだったなー。高校の時も師匠に言われたことをできなくて、できない、できない、とうろたえていた。それらのことは今では難なくできるでしょ？」
「努力の積み重ね、失敗の積み重ねを信じられる能力を才能というのだよ。その楽天性だよ。なぜなら、それは、すべて自分が持って生まれてきたものを、自分でやり続けているからなんだね。それを人は勝手に評価しているだけにすぎない。嬉しさや、好きであること、続けられること、みんな自分の判断によるものだ」
などと勇気づけながら、種を播いたのだった。 　

　ひと月、夏休みをこちらで過ごした次女も、ようやく北海道に戻った。大学に入ったばかりなのに、もう大学のことで悩んでいることを僕に伝えたのは、戻る二日前だった。子供たちは、壁に当たることで成長するのだろうけれど、その時点ではどうしても俯瞰して見ることはできない。僕達、親は時系列で子どもを捉えて未来を予想することが多い。子どもの成長を見てきたことは事実だから、ね。１０代２０代のエネルギーというものは、僕らには真似のできない上昇力がある。壁は、上昇する力をため込むのかもしれないね。

2017年9月15日　寺田潤史

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