お祭りが終わった。これは、一年の毎年の行事の中でも、僕にとって大きなことである。そこには、農繁期であるということ、台風の季節ということ、夏を超えて疲労が溜まっているということ、そして、人間社会での行事の多さということ、それらが複合して関与している。それら、どれも外せないことの中で、お祭りという少年時代から続いた特異な風物詩が、歳を重ねて形を変えてきていることに納得させられているのである。

　先週まで、何をしても暑い、と書いてきたのに、お祭りとともに冷たい雨がやってきて、寒さまでもが付いてきた。Ｔシャツ一枚の日常から、もう一枚の長袖シャツを重ねただけでは寒いと感じるくらいだった。人というものは、少しずつ寒くなっていくことには対応できるが、急な寒さには対応できないらしい。ラジオでは、マフラーをしてきたという声まで紹介されていた。真冬なら、気温１３度なんてとても暖かく感じるはずだから、今日はマフラーいらないね、くらいの会話となるだろう。気温２６度から１３度と急激に下がると、マフラーをしたくなるほどの寒さに感じるということだろう。１０月中旬のお祭りの時期であるから、妙である。

　暑くても寒くても、お祭りになると、皆それぞれの地区の正装のいでたちである。なんとも日本的なこの法被、股引、腹掛け、肉襦袢、足袋という形。お祭りはこうでなくちゃいけない、なんていう典型的に古いスタイルを踏襲する姿勢。前夜祭を含めてその３日間だけは、古式ゆかしい人の群れになるのである。そのスタイルで重たい山車を人力で動かし、練り歩く。ただし、今年は雨である。数年前から、山車には、すっぽりとビニールをかぶせて、雨から守ることができるようになった。僕の子供の頃は、雨だと中止の触れが回ったものだ。「今日は中止だって」とがっかりした声が聞こえたものだが、ビニールが普及して、中止はなくなったと言っていい。一人一人にも透明なビニール合羽が配られる。

　僕の年代の者は、ほぼお祭りの役からも開放されて、ひたすら同窓会のように飲みまわる。土曜日でお酒も飲み飽きて、日曜日はビールだけいただいて、夕方には山車で声を出してアルコールを発散する。若い頃まではずっと声をあげ続けたが、この頃は若い人たちのほうが声が続かないくらいだ。あっという間にお祭りは終わり、今日はお祭りを思い出して、あれは数日前のことだったのか？ともう随分前のことのような気がしている。

　お祭りが終わっても雨ばかりで、これから大きな台風が来るという。明日は小学校の運動会の予定だが、数日延期は確実だ。あまりに雨ばかりで、子供たちは運動会の練習もろくにできない。長男もボールを蹴る時間がぐっと減った。今日は午後から雨が上がったので、夕方長めに長男とサッカーをしておいた。明日からまたボールを蹴ることができない日々が続く。

　お祭り明けに、雨のない時を見計らって畑仕事をすると、今年も腰は痛くなった。それほどひどいわけでもないが、大事をとって休息を長めに取っている。超大型の台風は、今のところ直撃コースだが、少しでもそれてくれることを願う。台風のせいなのか、今日の気温は二十二度まで上がって暑くなった。めまぐるしいこの１０月をやり過ごせ。

2017年10月20日　寺田潤史

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