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「2017 今年の総括 その4」

 今年のひらく農園の野菜に関して、僕の印象はおおむね良いものだ。多品目という意味では、若干色褪せたような気配はある。とにかくたくさんの種類の野菜を作付けるという若い頃のエネルギーは、部分的に特化した野菜に向けられるようになってきた。オクラや水菜、空芯菜、小松菜、葉大根、葉付き人参、ニラなど、ひらく農園らしい主要な野菜を多く作付け、その他の野菜を脇役的な配置としたのである。これには、天候の具合が予測できないものになってきたことも影響している。大雨や極端な寒暖の差に負けないような、うちの畑に合った野菜でないと、育てにくくなってきたのである。

 秋の台風の二度の近接は、大いに野菜に影響を与え、ひと月半近く野菜の収穫量が極端に減ったことは大きな打撃であった。できれば台風が来てほしくない、という本音はあるが、台風は致し方ないというあきらめもある。今年は完全な直撃状態だけは避けられたために、畑の野菜が全滅というわけではなかった。台風の通過後、ひと月ほどファーマーズマーケットへの出荷を休んだ。それは一方で、出荷に忙しい日々から開放されて、農作業に専念できるという人間らしい生活を味わうことができた、というよいものももたらしてくれた。つまるところ、台風は台風で、意味のあることなのである。

 天候は、厳しいものだった。今、この冬の厳しい寒さは、1月のような寒さである。毎日のように霜が降りるなんて、12月では考えられなかったことだ。夏は、いつまでも夏が続くのじゃないかと思うくらいだったが、10月になって長雨傾向となり、台風を呼び、長雨が終わると冬になった。秋が極端に短い印象である。冬野菜は、秋の晴天を多く必要とするものであるから、世間の野菜の高値は当然といえば当然かも知れない。この冬もずっと厳しい寒さのままであるなら、野菜はさらに不足気味になるかもしれない。先のことはわからないけれど。

 来年、僕は58歳になる。帰農したのが29歳であるから、人生の半分を農夫として過ごすことになる。歳を重ねたものだと思う。畑を闊歩できること、それだけでもとんでもなく幸せなことだと思う。野菜を売ってお金は稼ぐが、ひとよりもたくさん稼ぎたいとは思ったことがない。お金を稼ぐのは、生活するためであり、子供を育てるためだ。生活できて子供を育てられ、連れ合いの恭さんが洋裁をし、僕がギターを弾いて曲作りができたらいい。今は、長男のサッカーを何とかしたいので、曲作りは停滞したままだが…。

 長男のサッカーの相手は、我ながら本当によくカラダが動いているものだと思う。さすがに、この頃は1対1でも歯が立たなくなってきた。今日の1対1では、二人でボールを追って並走した時によし届いたと足を出そうとしたが、うしろからの長男の短い足のほうが先にボールに触れた。足が本当によく出るようになってきたのだ。長男が汗だくになるくらいに僕が応戦しているのだから、まだまだ練習にはなっていると思うが…。カラダが動くからこそ、長男の相手ができるのであり、これまたありがたいことである。欧州サッカーもよく見て、練習のヒントを得ている。高いレベルの練習を考えるのもまた楽しいものだ。

2017年12月22日 寺田潤史


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