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「カラダもココロも温める」

 寒さはピークを迎えているようだ。朝の畑は、収穫のできない状態だった。気温マイナス2度では致し方ない。日が当り出してから2時間半経った10時でも2.5度。日中6度まで上がったけれど、17時頃にはもう3度台である。雪のある地方からすれば、雪が降らないだけでもありがたい話かもしれないが、外仕事はさすがに冷える。カラダを動かしていないと、足先が冷たくなってくる。

 昨日、友人の訃報が届いた。11月のはじめに動脈瘤破裂で入院、そして手術。その後の奇跡は起こらなかった。入院するまで普通に仕事をしていたそうだから、突然のことである。ご家族の心中ははかり知れない。埼玉までお悔やみに行くつもりだ。

 彼とは、高校時代に知り合ったが、いつからの友人であるかは覚えていない。クラスも一緒になったことはないし、部活動も違う。学校の隣のラーメン屋で話をするようになったのか?記憶はない。高校3年の卒業の頃、ロッド・スチュワートのコンサートを観に、名古屋まで一緒に行ったことは覚えている。その時、僕も彼も大学受験は全滅で、名古屋の予備校に通うとか名古屋で働くとか、そのようなことを話していたように思う。そのコンサートの前に、彼は名古屋でさっさとアパートを決めてしまったのだ。

 ところが、僕はその後一転して、東京の予備校に通うことになった。なぜそうなったのかも覚えていないが、そのことを彼に伝えると、今度は彼も東京の予備校に変更し、東京で同じ賄い付きの下宿に住むことになった。今思えば、親から見たら「どうして?」と思われることでも、当時はまったく意に介せずにひょうひょうといろいろなことを受け入れていたのかもしれない。その下宿には1年いただけで、大学時代を僕は阿佐ヶ谷で過ごし、彼も含めて高校の同級生達が阿佐ヶ谷にたむろしていたのだった。

 大学時代は、酒もよく飲んだが、彼は飲まなかった。車で海に行ったり、夏休みに能登までラリーまがいのこともやった。いつも複数の友達たちと一緒だったが、彼もその中のひとりだった。しかし、大学を卒業すると、当然だが皆がバラバラになった。そうして、だんだんと会う機会は少なくなり、お互いが家庭を持てばなおさらだ。数年前に、一度だけ、彼は皆と一緒にうちの納屋での宴会に来てくれた。髪の毛は少なくなるが、20歳前後を一緒に過ごした友達というものは変わらぬ何かがある、と感じた。

 もう少し、この歳でじっくり話しをしたかった、と思うがあとのまつりである。気候も動いているが、時代も動いている。必死に生きるのが精一杯だというのも本音である。もしかすると、宴会で話すこと以外には、何も話すことはないのかもしれない。だが、思った時に行動に移すことを躊躇するほど、僕もこのあとどのくらい生きるのかもわからない。

 僕達の親が他界するのが不思議でなくなってからだいぶ経つが、僕達の年代が他界するような歳になったということだ。できることをやる他ない、ということにこれからも変わりはないだろう。動こう。動いていたら、カラダもココロも温まるだろう。

2018年1月12日 寺田潤史


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