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「カラダもココロも温まる その3」

 寒波という言葉にふさわしい、そのような寒さの中にいる。このあたりは雪が降らないだけまだましで、都会の雪や降雪地帯の大雪もただごとではない。こちらは、昨日の朝がおよそマイナス3度、最高気温がプラス3度だった。一昨日から、風は猛烈に吹いている。次女のいる北海道はマイナス15度以下まで下がっていたらしい。

 朝の収穫は、午前11時頃まで見合わせた。葉が凍っていて太陽熱でもなかなか溶けないのだ。こんな寒さで収穫をするというのも、雪国では考えられないことかもしれない。しかし、野菜は偉いもので、太陽の熱を受けてしっかりと元に戻ることができる。大変なのは人間だけなのかな?

 作業する納屋も、薪ストーブをガンガンに焚いても、そんなに暑くはならなかった。外から戻ると「あったか〜い」となるだけだ。それでも薪ストーブで沸いたお湯は重宝する。足が冷え切った時には、バケツにお湯を張って足湯をすると、途端にぽかぽかとなる。足と手を暖めることができれば、この寒さでも収穫はできるのだ。カラダを温めたければ、薪をノコギリで切る作業をすればよい。寒さというものがストレスになるかどうかは知らないが、カラダを温めるという行為は、実にすっとした気持ちのよいものとなって、ストレスからは遠く離れた状態にしてくれる。

 とはいえ、こう寒いと、風邪も引きやすくなるし、学校ではインフルエンザが流行りだしているらしい。四女の通う中学では、女の子はふくらはぎをそのまま露出して通わせている。マイナスの気温で登校するのに、スカートを履いて、ストッキングすら禁止であるとはチョイと寒すぎるのではないか?と思うが、いかがなものか?それでも元気に通っているのだから、若さだねぇと思う。僕は久しぶりに、喉が痛みだした。疲れか、風邪をもらったか、熱は出ていないが、良くない気分が喉に存在することは確かなので、かかりつけのお医者さんに抗生剤をだしてもらってきた。去年の五月以来の診察だと教えていただいた。

 長女は演奏会を終えてそのまま帰京した。まだまだ実力不足だということを痛感したそうだ。家を出る時、「今回は家が暖かくて快適だった。ありがとう」と言って車に乗り込んだ。ああ、歳を重ねたなら、皆、大人になっていくのだな、と成長している姿が嬉しいような…。考えてみれば、長女は今まで高校時代の師匠や、大学の教授に引っ張り上げられてここまできている。もちろん、ある程度の実力がなければ引っ張り上げる方もその気にはならないのだろうけれど、大学卒業後には独力でやっていかなくてはいけない。そのことに本人が気がついたとなれば、人の賛同がどんなに心強いことかが身にしみてわかるものだろう。人は一人であるということに気がつくと、自分に関係のある人の存在がとても大きく、その温かさにも気づくのだ。

 そして、親は何らかの援助をするにしても、常に遠くで見守るだけである。病気や怪我をしてもそうだ。いろいろな助けがあったとしても、病気や怪我と対峙するのは常に自分自身なのだ。この寒風吹きすさぶ中、僕らは温かさを探しているのだ。

2018年1月26日 寺田潤史


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