★ 「週刊てーて」+αをブログでどうぞ。 ☆ ひらく農園の野菜を入手できるお店
8月もお盆を過ぎた。なんとも怒涛の勢いで日々が過ぎていく。台風も次から次へとできては日本に向けてやってくる。好調な夏野菜たちが、いつ全滅してもおかしくない状況だ。世の中の夏休みモードとは裏腹に、僕たちは休みなく過酷な収穫を繰り返して出荷する毎日。休みをとって家族で遊ぶ、なんてこととは無縁な僕たちのような人種もいるのである。毎日毎日、実に過酷であると思う。しかし、こうして体が動いているだけでも、ありがたいことだ。
三女は、千葉県に11泊して今日帰ってきた。自分で稼いだお金でウィークリーマンションを10万円ほどで借りて、あるケーキ屋さんに10日間の研修をさせてもらってきたのだ。親には内緒で、7月に面接に行った。さらに3ヶ月ほど前から、現在働いている会社の専務と話し合いを続けてきたらしい。中卒で2年5ヶ月お世話になった会社をやめて、目標であった首都圏でのパティシエを実現させるようだ。高校に行っていれば今は3年生の時期だが、三女の行動力には正直びっくりだ。
いや、まだまだ三女は子供である。朝は起きることが苦手だし、世間知らずも甚だしい。実際、この研修期間の二日目にして、朝の連絡がつかなかった。研修期間中は朝の七時から働いて、夜八時前後まで店にいる。朝、六時前に念のために連れ合いが電話を入れた。つながらない。メッセージを送っても開封済みにならない。マナーモードのまま眠ってしまったに違いない。そこで、「iPhoneを探す」アプリで強制的に三女のiPhoneのサウンドを鳴らした。そこで初めて起きたようだった。その日はなんとか間に合ったようだが。
研修の四日目、また、朝、連れ合いが電話してもつながらない。メッセージを送っても、配信すらされない。これは電源が切れているな、と観念した。まあ、そのまま寝かせておいて、大恥を書くのも経験だ、と僕たちは割り切った。案の定、10時まで寝ていたそうだ。これで首になったかと思ったが、普通に働いたようだ。以降は、自分でしっかりと起きたようだった。
昨日で研修を終わり、三女は「他の店でも研修をして、それから決めたい」とオーナーに伝えたそうだ。オーナーは、「好きにしていいよ」と言ってくれたらしい。つまり、他の店が良ければそれはそれでいいしウチで働きたければいつでもおいで、というような評価なのであろう。今日、家に戻る前に、東京の有名ケーキ店を下見してきたらしい。さて、この先どうなることやら?明日からまた月末までは今の会社で働くようだ。
僕の感覚では、三女が中学三年の秋に、地元のいくつかのケーキ屋に面接に行き、どこも断られて、僕の友達のつてをたどり、今の会社を紹介してもらった、そんな経緯があるから、二年五ヶ月で転職では期間が短いのではないか?と思う。会社に悪いな、という感覚である。しかし、本人が会社の専務と話し合いを続けて、ケーキ工場で働き続けては上を目指せない、というようなことで了解をもらったのだから、親の出る幕ではないな、とも思うのだ。長女も今、ドイツで留学に向けて奮闘中だし、子供は勝手に巣立っていくもの、というようなことを実体験として僕らに焼印を押されているような、妙な感覚を覚えている。
2018年8月16日 寺田潤史
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