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2日前の雨は、各地に被害をもたらすものだったらしい。屋久島のそれは、ニュースに度々取り上げられていた。こちらでは、115ミリほどの雨量で、被害はなかった。このような雨の降り方は、今後も続きエスカレートするようなことをテレビが盛んに伝えている。温暖化が原因とすれば人災ということになるが、雨や風の強力なものはあくまで天災である。強力でなければ、それは自然の恩恵ということになる。
僕たちは、雨を恩恵と捉えている。雨を狙って、苗の植え付けや種まきをすることを常とする。井戸水であっても水道水であっても、種や苗に水をやるということは大きな労力と時間を要するものだ。雨はいつだって偉大なのだ。だから、この雨の前には、集中して種まきをし、苗を植え付けた。オクラの種も、ようやく播き終えることができたのだった。
オクラは、夏から秋のうちの主力野菜の一つだ。例年、5月になってから種播きをしている。6月初めまでに播き終えれば十分だが、できれば早めに播きたい。種を播く前に、畝を作る。トラクターで耕して、堆肥を畝の中央に施し、生分解性のマルチフィルムを張る。その時には、畑は乾燥して、土はゴロゴロだった。マルチフィルムに穴を開けていくのも大変である。ゴロゴロとした土の塊が穴あけカッターを痛める。もう25年くらい使い続けている穴あけカッター、もう買い替えの時期かとも思うが、買い換えたとしてもこのゴロ土では、カッターの刃はすぐにダメになってしまうだろう。まだまだ使い続けましょうぞ。
穴の開いたところに、3粒ずつオクラの種を播いていく。これがまた、ゴロ土で大変だ。まるで、岩に種を播いているような感覚である。雨の前に、何とか一畝70メートルの半分くらいを播き終えた。そして、115ミリの雨が降った。雨があがった夕方、さてオクラの種播きを再開しましょう、と畑に向かった。穴の開いた畝に雨水が染み込み、岩のようなゴロ土は、土に変わっていた。播きやすい。こういう時には、「神様がいる」と感じる。豪雨にも神は宿っている、と言いたくなるくらいである。
人間の知恵や経験は、はじめからそれを計算して取り組むのが仕事である、というような姿勢をよしとするかもしれない。しかし、僕は、「神様がいる」とその瞬間に感じることに喜びを大きくする。それは、毎日の積み重ねの中でのご褒美のようなもの。サッカーで言えば、前からの守備と、できるだけパスを繋ごうとする繰り返しの中で生まれたスペースを使う妙技のようなものか?
毎度サッカーの話で恐縮だが、効率的にポンとボールを大きく蹴って、足の速い人間がそのボールめがけて走るようなサッカーはあまり面白くない。ボールを人が動かして、人が動くことでできたスペースを使って、またそこにボールが動くようなサッカーが好きなのだ。今は亡きヨハンクライフも、その著書の中で書いている。「頑張って走ることではなく、ちゃんと目を開きよく見てサッカーをすることだ」と。ボールを繋ぐように、僕たちは仕事を繋いでいく。「今を行く」ということは繋ぎ続けることでもあるかもしれない。
2019年5月23日
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