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ドイツにいる長女、大学院の試験が始まっている。どうやら惨敗傾向で、苦しい時間を過ごしているようだ。それみたことか!と惨敗を予想していた人は、ホルンに詳しい方かもしれない。ホルンをサッカーに置き換えてみれば、予想は厳しいものになるだろうことは想像しやすいかもしれない。
ホルンの演奏はそんなに難しいのか?と問われたなら、僕にホルンの演奏経験はないので答えに窮するだろう。しかし、娘の今までの成長を見守ってきたものからすると、相当に難しいと言いたくなる。ギターを40数年弾いてきている経験からすれば、易い楽器など存在しないとも言いたいところだ。では、サッカーは難しいのか?サッカーは楽しいもの、かな?
長女は、受験前から相当に苦しんでいた。日本にいる僕たちが心配してもどうしようもないのだが、心配になるほどだった。実際に試験が始まると、緊張でボロボロだった、とメッセージが入る。日本でも、高校時代など、コンクールでボロボロになった経験を見てきた。それでも結果は残してきたし、音大でも少なからず結果は残していた。しかし、長女は今、ドイツで一人である。やっとドイツ語を理解しはじめてドイツ人にレッスンを受け、指摘を受けて演奏方法を改良する日々を三月から続けてきたところだ。まだ、たったの3か月あまりである。その心細さは想像に難くない。サッカーのプロ選手になろうとして、ヨーロッパや南米などでトライする人たちも同じようなものだと思うけれど…。
ドイツの大学院は、試験を受けてすぐに結果をメールで知らせてくれるらしい。3つ受けて、またダメだった、とメッセージが来た。時差7時間なので夜中である。僕は勇気づけるつもりで、嫌われ覚悟で長々とメッセージをいくつも返した。「お疲れ様」「そうか、残念」「前に進んだことを褒めてくれたんだからね、嬉しいね」と書くと、長女は「次もダメだったらごめんね」と来た。「謝る必要はないでしょう?おまえの好きな道を行く。それを応援してるだけだからね。どっちに転んでも楽しみだね」「たのしみ?」「どのような縁に恵まれ、どのような道を辿っていくのか、それが楽しみ。おまえもまた、やることをやったなら強力な運に恵まれる性質だからね」そこまで書いたところで、返事がなくなった。僕は一人で送り続けた。
「みかん農家のKさんの娘さんのように、15歳からイギリスに渡って、20歳過ぎて日本に戻り、バレエを教えながらその道を探り、30歳過ぎてドイツのバレエ団に合格した、という例もあるからね」「おまえの熱意の質を試されているのかもね?」ここで長男のサッカーの例え話に移る。「先の日曜日のU13の公式戦の前に言ったんだ。先発フル出場して安心している場合か?。守備は大事だけど守ってばかりでは情けない。リスクを犯して時には前に出て、お前の持っている攻撃性を生かさなきゃ将来上には上がれないよ、ってね。そしたら公式戦でそれを実行しようとしていたよ」「あいつの良さは、おまえと同列のものなんだ。素直に人の話に頷いて自分に取り入れる力だよ」まだまだ僕は書き続けた、時間も気にせずに…。翌日、長文のメッセージが幾つも返ってきた。ホッとして思わず車の中で叫んだ。
2019年6月22日
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