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「冷夏予想を裏切る猛暑 その2」

 長雨だった梅雨が遠く、遥かな季節のように感じられる。毎日が猛暑であることは、ヨーロッパの猛暑の見聞を含めて、僕たちは人類未踏の地を歩いているのかもしれない、と思わせる。納屋でも車でもエアコンの中にいて、さらに熱を外に放出する僕たち。だが、この暑さを生き抜くには、もはやエアコンなしではいけない、というお上からのエアコン推奨時代だ。とうとう、僕たちも寄る年波に勝てず、部屋にエアコンを入れることにした。

 そのエアコン工事に備え、家の配電盤から屋根裏に張られる既存の電線のありかを探ることにした。脚立で屋根裏部屋に入る。初めて屋根裏に立ち入った。この明治末期に建てられた瓦屋根の屋敷は、築一〇〇年を超えている。その屋根裏は、信じられないほどの暑さであった。広大な空間と太い梁の数々。しかし、その暑さで、ゆっくりと眺めている余裕はない。瓦が受けた太陽熱を、その空間にまんまと保有しているようなものだ。この家の熱源はここにあったのだった。それが部屋に降りてくるというわけだ。

 なんとか電線の這わせ方に目星をつけて、階下に降りた。電気工事は電気工事屋さんに任せなければいけないので、どうすればよいかを伝えることができればよい。夏の電気工事屋さんは大変だ、と屋根裏に上ってよくわかった。と同時に、このとてつもなく古く巨大な建物は、扱いが極めてオオゴトになることも現実のものとして理解できたような気がする。

 子どもたちを育てる上で、たくさんの本をいただいたりしたので、廊下に本棚を備え付けで僕が作ったのは、十数年前だろうか?もうそれも必要なくなったので、分解して撤去した。これもエアコン工事のための副産物である。よくもあんなものを作ったものだと思うが、子どもたちのために時間を割いてきたのだなぁ、と改めて思う。

 さて、予想を超える猛暑で、野菜たちはどうか?井戸水さえ出していれば、なんとか野菜たちは元気である。連れ合いが、オクラもかなり乾いてきたから井戸水を、というので、二時間ほど井戸水を出した。二日おいて、もう一度二時間ほど井戸水を出した。二時間といっても、大した量ではなく、揚程がとんでもなく長いので(70メートル引き回して、そこから70メートルを灌水チューブで流す)チョロチョロ程度の水だ。しかし、その結果として、オクラはさらに収穫量を増やした。オクラの葉を欠いて樹勢を弱めたつもりでも、収穫量は増えている。これは気温と言うよりも、湿度が高いことが大きく影響しているのだろう。オクラの夏は、台風が直撃しない限り永遠に続きそうである。台風10号が直撃しそうな気配もあるけれど…。

 オクラの仕分けや袋詰などの出荷作業が長い時、音楽専用パソコンで曲を流す。アレンジ中の曲を聴いて、手直しをし、キーボードを弾いて録音する。ほとんどは、単に聴いて納得のいくものかどうかを判断するだけだから、仕分け作業は続けられる。その一方で、古くなってきた仕事用のパソコンのあちらこちらに不具合が出たり、電気髭剃りが動かなくなったり、洗濯機の中が水漏れしたり、と経年劣化が判明することが多いのも、この夏の特徴だ。猛暑の中、あまりにたくさんのやるべきことに翻弄されて、すぐに夏は終わるだろう。

2019年8月9日


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