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3月以来、今年はずっとコロナウィルスのことを書いてきた。書きたくなくても、あまりに政府の対応がお粗末なので、書いて吐き出してしまわないと、という側面があったのかもしれない。ニュースやインターネットでの情報取得だから、半分は噂話の域を出ないのかもしれないが、ウィルスなんてもともと目に見えないのだから、自分がウィルスにやられない限りは実体験としてはわからないだろう。医療関係者は、データとその目で患者を見ているのだから、それは壮絶な日々なのだと想像する。しかし、国民だって大きく影響を受けているのは事実なので、噂話で片付けられるような出来事ではない。
実感のわく国内ニュースと違って、海外のそれはやはり噂話に近い受け取り方だ。しかし、長女がドイツ在住なので、ドイツでのコロナ関係の対応を直接聞くと、噂話からドイツの聡明さが伝わってくる。いやドイツと同じくらい日本も聡明な人はたくさんいるのだろうけれど、ここで言うのは政府と官僚の聡明さのことである。聡明さとは、自分の言葉で物を言い、自分の尺度で説明し、素早い行動ができること、と定義してよいだろうか。
今年は、長女のドイツでの挑戦が、一つの形となったことから始まった。去年の2月下旬にドイツに渡り、十ヶ月を経てドイツの名門音楽大学マスタークラスに合格したのが1月下旬だった。どこでもよいから大学院にひとつひっかかるまでにあとどれだけの月日がかかることだろう?と思っていた僕たちには、寝耳に水くらいの出来事だった。2月下旬には大学院でのドイツ語レッスン授業も始まっていたのだが、3月下旬にはコロナウィルスで授業延期の知らせが入った。ところが、4月下旬になって2年間のマスタークラスの予定を2年半に延長すると伝えられ、秋までの時間はオンラインでの授業とレッスンに変更されたのだ。その対応の速さ柔軟さは実を取るという意味で、日本とは別格だ。文化、芸術に対する重きの置き方が全く違う。日本学術会議の対応など、日本政府の干渉や懐の小ささが強調された年でもある。
さらに、12月から、長女のアパートの家賃が変更された。ドイツ政府が家賃を部屋面積に応じた価格に変更する通達を出したようだ。詳しくは知らないが、ベルリンの地下鉄駅すぐ近くのアパートをシェアする形の長女の家賃は、月額7万円から5万円弱になったのだ。仕送りする側としてはありがたいことこの上ない。ドイツの政策として、今後の公的補助を平等化する礎とするやり方なのだろうか?とにかくドイツ政府はやることが早いし、説明的だ。
よく言われることなのだが、「娘さん、ドイツに行ったきりで、当分帰って来られないですね?」と心配される。いやいや、僕の考え方は全く違って、ドイツに行きたくて長女が自分で決定し、ドイツでの合奏が音楽的に聴こえ、そしてそのままヨーロッパでオーケストラに入りたい、という長女の意思のままに生きてほしいのである。今は、LINEでのメッセージや電話もあるから、頻繁に連絡を取り合うこともできる。寂しさよりも、元気でやってくれさえすればそれでいい、と本気で思っている。そういう意味で、今年の長女の動きに関しては今までで一番の年だった、と思う。コロナ禍の癒えない今でさえ。
2020年12月11日
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