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「60歳 その3」



 29歳の秋に帰農して丸30年を過ぎた、ということは人生の半分を畑で過ごしていることになる。10歳までは牛と鶏を飼う農家で育ったので、人生の3分の2は典型的な田舎で過ごしている、というわけだ。東京に10年半過ごしたことで、心の一部が都会化しているのは、20代という人として重要な年代(どの年代も重要だけれど、その人の生き方を左右するという意味において重要な年代)を自由にやらせてもらったからだろう、

 帰農して、僕は開墾作業に明け暮れた。1週間を家と畑の往復だけに費やした、ということもざらだった。その中で、毎夕5時に流れてくる放送が奇妙と感じた。「5時になりました。子どもたちは早く家に帰りましょう」と子供の声で放送が町内に流れるのである。当時はまだ市との合併前で、町役場に務める旧知の友達に尋ねた。「投書はどこへすればいいのかな?」すると友達は言う。「投書なんてきたことないからなー」「え?そうなの?」と驚いた。そのくらいにお役所仕事に注文をつける人が少ない土壌であったのだ。僕は早速投書した。どのように書いたかは覚えていないが、間もなく、あっけなく、夕方5時の放送はなくなった。

 昼間の民放ラジオも嫌だった。東京のラジオをそんなにたくさん聴いていたかどうか疑問だし、東京のいくつかの放送局を気に入っていたわけでもなかったと思う。しかし、こちらのラジオはすんなりと受け入れられなかった。何が違うのだろう?意識であろうか?東京のラジオで話すということは、より多くの人が聞いているということであり、なにか妙なことを言えばお叱りがすぐに届く。結果的に、話す人の意識が高くなり、文化レベルも上がるのだ。こちらのラジオでは、なぁなぁ、というべきかどうか馴れ合いのような言葉使いが多く、意見も話す人個人の断定的な物言いが多かったのだ。音楽の選曲も偏っていた。

 FM放送では、愛知のものを聴くことができた。青木小夜子さんという話し手はよかった。意識が高いのに柔らかな物言いをしていた。東京から田舎に戻ると、友達は近くにいても、ある種の孤独を味わう。文化的な欠落感に苛まされるのだ。そんなときに青木小夜子さんの声に励まされると、お腹に力が入ったものだ。そして、今、やはり民放ラジオはさほど変わっていない。人気が出ると持ち時間ばかりが長くなる傾向にあるが、文化的な価値観を断定的な物言いでなく発言できる人を、短時間でいいから何人も必要としている気がする。

 僕がPCを使って19年になり、今はスマートフォンを一人一台持つような時代になった。情報はどこにいても手に入るような気になっている。人と人の世界において、より良質になろうとする情報こそが必要だと思うのだけれど、目に飛び込んでくるのはゴシップネタが圧倒的だ。プッシュ通知を謳い文句にするのなら、せめて情報の均質化をお願いしたい。これが60歳のわがままである。テレビやラジオまでがインターネットから情報を持ってきてこれみよがしに報道するし、テレビではただ単に座ってコメントして笑いを取ろうとする人が溢れている。ダビンチミステリーのような放送だってあるのだから、要は使いようだ。レオナルド・ダ・ビンチのようにはいかないが、そのように生きたいな。

2020年6月12日


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