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「も少しわがままに生きても その3」



 世の中は矛盾に満ち溢れている。その世俗的なものの代表は、コマーシャルであろうか?いや、コマーシャル自体に矛盾があるかどうかはわからないが、コマーシャルを見る側の人々の反応である。世間話として、自慢話をしている人を揶揄することはよくあるが、コマーシャルのほとんどは商品の自作自演の自慢話である。ビールなどでは、それがどんなに美味しくなくたって「うまい〜」を連発する俳優が存在する。コマーシャルを流すことができるくらいの企業が、どのように利益を出してきたかを図る術ともなるが…。本当に美味しいものは、コマーシャルを流す規模にあるわけないのだが、人々のステータスとはそういうものである。

 子供が「あれ買って、これ買って」を連発すると、親はたまらずに「わがままー」という言葉を口にしてしまうことがある。親の説明が丁寧でないことの証左だが、あれもこれも買ってほしいという、自分の意思を表明することはよしとしないといけない。ただ、それがあなたの命をかけたい事柄であるかどうかの説明を、子供にさせる必要がある。その時間がない時に、「わがままー」と言ってしまうのかもしれない。いつの間にか子供は親に飼い慣らされ、学校の先生に飼い慣らされ、社会に飼い慣らされてしまうのだろうか?自分自身をとことん見つめ直しながら生きる時、自分の意思にできるだけ添う生き方にわがままなどあるのだろうか?

 とは言え、今年のコロナウィルスの感染力には、そのわがままさえ削がれてしまうほどのものがあった。人々は一時的によく我慢したと思う。しかし、非常事態宣言が解かれて、そのタガが外れてしまったのだろう。いっきに劇場や飲み屋さんの一部から水が漏れてしまったようだ。自分の好きなスペースへ行くことは悪いことではないかもしれないが、急な3密がどのようなものかを体現してしまう結果となっている。これは、わがままの範疇ではないと思っている。本当に好きなことであれば、そこに携わる人々の安心も考えてほしいと思う。考え抜いた結果、感染してしまうのならそれは仕方がないことだろう。ニュースで知る限りは、クラスターの発生しているところの多くはずさんなウィルス対策を取っていたようだし、その場に足を運ぶ人もしかりであったようだ。

 それでも多くの人々は感染していないのだから、医療関係者を筆頭にその行動力は評価に値する。とりわけしっかりとした体制をとっている企業は素晴らしいとも思う。横並びでなく、独自色をしっかりと出しながらやっているところは強いなと思う。しかし、である。ここへ来て、子供のジュニアユースサッカーの観戦ができなくなってしまった。これは正直がっかりである。もちろん観戦は我慢する。怖いのは、このまままた感染が広まって、子供のサッカー自体が休止になったり、試合がなくなってしまうことである。特に、中学生や高校生の、その年代でしか体現できないことを奪われてしまう損失は計り知れない。だから、せめて子どもたちの練習や試合だけはなんとか続行できるように願う。これが僕のわがままである。子供の試合をその場で見て、撮ったビデオを日常生活の中で繰り返し見ることができる、というありきたりの生活が戻って来ることを切に願うのだ。

2020年7月24日


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