眼を手術したことは、予想外な一面ももたらしている。今日夕方、ジュニアユースの練習に行く前の長男と、サッカーボールのパスの受け渡しをした。手術に影響があってはいけないと、手術前から長男の練習には付き合っていなかった。ほぼ１ヶ月半ぶりにボールに触ったのだった。ほんの少しだけ時間を取れたので、「トラップの練習だけ付き合ってやるよ」とトレーニングシューズに履き替えた。

　トレーニングシューズの感覚もなにか違うが、久しぶりだからと構わずインサイドキックを蹴った。あれ？当たらない。当たらないとは、ボールの芯を蹴っていないということだ。何度蹴っても、芯に当たらない。こ、これは？どうしたことか？３０本から４０本程度蹴っただろうか？芯に当たったと思えるのは、２，３本程度である。これは重症だ。 今

　までは、何も考えずに、長男のトラップ上達のために８年間ほどボールを蹴ってきた。長男よりも芯に当てることは下手ではない、という自負もあった。さすがにこの頃は、長男も芯に当てて蹴るようになってきていたが、左右に僕が蹴り分けて、長男を動かしてトラップの練習をさせることくらいはできていた。それが、狙った場所に蹴ることができないばかりか、ボールの芯にすら僕の足を蹴り当てることができないのだ。衝撃である。

　よく考えてみると、今まで分厚いレンズの眼鏡をかけていたせいか、裸眼の生活になってすべてのものが大きく見える。自動車の運転用に作った眼鏡すら、薄いレンズなので、物が小さく見えることはない。ボールを蹴ることが久しぶりとは言え、裸眼に度の入っていない保護眼鏡だけをかけてボールを地面に置いてみると、ボールは当然今までよりも大きく見える。大きく見えるのに、足が芯を捉えることができないのだ。何度か、地面（コンクリート）を蹴ってしまった。感覚が今までと変わってしまったのだ。

　そう言えば、昨日の夕方、少し長い時間を自走式草刈り機で草を刈った。ところがなんだか、今までよりも踏ん張りが効かなくなっている事に気づいた。レーシック手術後２週間経って、腹筋や腕立ても再開し始めていたのだが、思った以上に回復に時間がかかっているようだ。眼の、一部とは言え、入れ替えられた人工物を自分のカラダがどのように慣れていくのかを、興味を持って観察していた。ここへ来て、相当にカラダには負担がかかっているということがわかってきた。カラダのバランスを整えるのは容易ではないということかな。確かに、ハードな仕事をこなすわけでなくても、一日終われば疲れを感じるのだ。

　苗を畑に植え付けるような仕事には、大したカラダの変化はなかった。全身を動かすような運動系のバランス感覚に、視覚は大いに影響することを身を以て体験したことになる。長男とのパス交換すら満足にできない、とはね。長男も相当に驚いていた。長男にとって、父親が年老いていくのをはっきりと見た、最初の出来事かもしれない。大丈夫。絶対に復活してみせるからね。もうキーパー役をやるには、眼のことがあるから無理があるけれど、トラップの練習相手が務まるくらいには、復活してみせようじゃないか。

2021年4月23日

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