三女が今のケーキ工場で働くようになって１年あまり。こちらの地元のケーキ工場、東京のケーキ屋さんを経て、仕事の精度は高まっているようだ。しかし、やはり、仕事ができるようになると給料は上がるけれど、いいように使われるのが世の常。早番や遅番へのシフトだけならよいけれど、終電で毎日帰宅するような日々はちょっとよくない。先日は、終電で眠りこけて終点まで行き、更に乗り換えてまた眠りこけ、電車はなくなり、タクシー代を持っていなかったので、歩いて部屋にたどり着いたのが夜中の３時だったという。そのまままた眠りこけ、早番の出勤など無理である。ブラックそのものだが、それもわかった上での一人暮らしだ。

　次女の高校教師は、少し慣れてきたのかな？という印象だ。帰宅したときの次女の表情を見て、思わず「なんや慣れてきたみたいやな、緊張感が薄くなってるよ」とつぶやいてしまった。次女は、大学の時のネフローゼ症候群になりかけた経験から、塩分計算して食事に気をつけるようになった。だから、弁当も自分で作って持っていく。こちらは、夜に弁当箱を洗ったり、洗濯をしておいたりすればよく、朝も勝手に自転車〜バス〜電車と乗り継いで、出掛けていく。ただ、食事の内容には、これからまだ改善の余地が大いにあるが、僕はチャチャを入れるだけで放ってある。一つずつ、自分の納得のいくようにやればよい。

　長男は一五歳になった。サッカーを志す上での一つの分岐点に差し掛かっている。中学から家に戻って、１７時過ぎにサッカーの練習に自転車で出掛ける。２１時前には帰宅するが、シューズのケアと風呂を経て、夕飯を食べて３０分程は勉強机に向かう。それから母親に足裏から膝上までのマッサージをやってもらう。これが、怪我の少ない要因になっていると思っている。身長１６０ｃｍ体重５０ｋｇまで成長してきた。これからの１年でどれほどに成長できるだろうか？夜中に洗濯物を干しに長男の部屋に入る。部屋の湿度を高めるためには、洗濯物がちょうどいい。ついでに布団を掛けてくるのが日課である。

　来年、ユースに昇格できれば、寮に入ることになる。そうなれば長男は家にはいなくなる。ユースに昇格できずに、高校サッカーとなれば、また違った環境になるだろう。僕たちの役割は、もう見守るだけになる。このコロナ禍で、多くのスポーツ選手の親御さんが、子供の試合を見ることができないでいる。僕たちも、去年から２〜３ヶ月に１試合程度しか見ることができていない。子どもたちは、まったく遊びにも行かないで、黙々と頑張っているのだ。毎日の積み重ねとは言え、好きなことを好きなままでいられるように環境を整えてきた親のサポートはもうすぐ終わる。

　四女も今年は、就職を探さなければいけない。長女もドイツでのあと二年足らずの間に、ドイツ国内でオーケストラに合格すべく頑張っている。ドイツへの仕送りも大変なのだが、長女ができることはホルンを吹くことである。親ができることは、できるだけ稼ぐことである。カラダを壊さない程度に働くことである。良い食生活を与えることである。それらの一つ一つの循環の中、連れ合いは洋裁をし、僕は音楽制作をするのだ。

2021年5月14日

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