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うちの畑は蚊が異常に多い。樹木や笹竹が多いからである。いっそのこと笹竹をすべて切ってしまおうか、とも思うのだが、家の東側の笹竹の厚い壁は、台風から家屋を守ってくれている、という側面は重要で、捨てきれない一面である。だから、結局蚊と共存することになる。
朝夕の蚊の多さは半端ない。だから、できるだけ家のいない時間帯に収穫することが多い。それでも、時に蚊はやってくる。10年くらい前から、蚊をできるだけ叩かないようにしている。一度蚊を叩いてしまうと、蚊が蚊を連れてくることになるからだ。1匹の蚊が1匹の蚊を連れてくるのならいいけれど、大抵は蚊の大群を連れてくることになる。一度蚊を叩いてしまえば、蚊を叩き続けなければいけなくなるので、収穫ははかどらない。だから、蚊を叩かないで、できるだけ完全防御で収穫をする。
でも今年は、ふとしたことに気づいた。胡瓜や蚊と話しながら、つぶやく。「そうか、蚊たちは、君たちは自分の縄張りたる草むらを荒らされると勘違いして、やってきた人間を刺しに来るのだな」「いや、こちとら胡瓜を育てるためにこの畑を手入れしているのだから、ここは俺の領域だぜ?」「いや、待てよ。君たちが出現することによって、胡瓜が獣に荒らされるのを防いでくれているのかな?」「もしそうなら、君たちに感謝しなければいけないね。それならやっぱり、できるだけ君たちを叩かないようにするよ」などと、つぶやきながら胡瓜を収穫している。
そして、胡瓜が毎日収穫されて、樹勢が落ちてくる。そうなると、ウリバエが大量発生する。放っておけば胡瓜のはすべてウリバエにやられてしまう。そこで、ウリバエを叩くようになる。しかし、ウリバエは蚊と違って、ただ叩いただけでは死なない。相当に強く叩くか、潰してしまわなければ死なないのである。手が痛くなるし、蚊を叩いているのと勘違いされるかもしれない。誰に?蚊だよ。
そこで、検索して、ウリバエ容器を作った。ペットボトルを切って、飲み口を逆さに取り付けただけだが、これは便利だ。ウリバエを捕まえて中に入れるだけで良い。叩かなくてよいから気も楽だし、手が痛くならない。これもこちらの縄張りたる胡瓜を守るためだ、という大義名分もある。このテデトール作戦、茄子のニジュウヤホシテントウと同じで、時間は非常に多く費やさなければいけない。それでも、地道さは功を奏すし、確たる成果が現れる。
地這胡瓜は、字のごとく地を這う胡瓜である。土に近いところに実がなるので、どうしても実は汚れやすい。だから洗って出荷する。その洗った水をバケツに貯めて、胡瓜畑に戻す。そうすることで胡瓜の有用な微生物が働くのかどうなのか、胡瓜の実の表面に存在した微生物のおかげか、とにかく胡瓜はよく育ってくれる。今年は、元肥としての堆肥だけ施して、追肥もしていない。井戸水はチョロチョロ流し、たまに木灰を葉っぱにかけていくだけである。この時期でも、地這胡瓜が真っ直ぐに育ってくれたなら、「頑張ってるなー、おまえたち」「素晴らしいな、君たちは」と、思わず声が出てしまっている夏だ。
2021年8月6日