東京オリンピックが終わった。正直なところ、やれやれである。オリンピックを開催したなら、当然だけれど人心は緩む。コロナ感染は増加する一方であることも皆が周知していた。それをわかっていて、開催したのは政治がらみの自分のこと優先の人たちである。いや、もしかすると本当に予想できなかったのか？まさか、ね。市民は、とうに政府を見放しているし、オリンピック委員会のようなものも似たようなものであることを知ってしまった。問題は、マスメディアである。

　オリンピックに参加した選手たちは、参加を辞退した人以外は、良い成績だけをあげることを考えていたはずだ。中には、本当にオリンピックをやっていいのかな？とゆらぎながら競技を続けた人もいるだろう。そのような道を志して長年やってきたのだから、それはそれで大変な思いと同居した年月は長いと思う。僕の息子もサッカーをやっているので、少しはその長い道のりは想像することができる。

　巨額の費用が絡むオリンピックにおいて、テレビ局の放映権を得ることは大きなことであろう。だから、オリンピックの競技を中継することに、総力をあげることもわかる。しかし、コロナ禍は拡大するばかりで、同じテレビ局が「オリンピックを開催することを市民の半数以上が望んでいない」というような報道をする。その一方で、ＣＭもオリンピック関連が多く、アナウンサーは実況で声を張り上げるばかりだ。お祭り騒ぎをテレビ局が煽っているとしか思えないくらいだ。そのような状況では、市民の心はさらに緩む。 テレビ局の社としての姿勢がない、というのが日本の現状だ。あるとすれば、政治家の側をを向いてしまっている姿勢だ。せめて、競技は中継するが、絶叫しないで淡々と報道する、などの工夫はできなかったのだろうか？ あまりにバラエティ番組だらけになってしまったので、筋の通ったメディアの運営はできないのかもしれないね。悲しい国だ。

　市民はというと、政治がだらしないし、メディアもいい加減なので、自分の必要な情報だけを取り出すことが得意になってきているのかな？きっちりとコロナ対策をして、地道な生活を繰り返す人たちがほとんどであるという事実は、ことさらにオリンピック関連のメディアの宴会や政治家同士の会食を浮き彫りにしてしまっている。

　サッカーでは久保建英にがっかりした。メディアは天才だと持ち上げて、彼を取り上げる機会がやたら多い。しかし、あそこまで我ありで自分の活躍だけを求めるばかりでは、本来の視野の広さが全く生かされない。パスを出せる瞬間がいくつもあったし、自分で打開しようとすることがミエミエで、あっさりと相手に対応されていた。点を決めた時のドヤ顔に至っては、もう見たくないと思ったくらいだ。スペインで活躍できない理由をプレイとして納得したオリンピックだった。まだ若い。今から謙虚になって出直してもらいたいと思う。田中碧だけが興味深いことを言っていた。「日本人はまだ１対１をやっている。メキシコやスペインはデュエルを通り越して複数人で崩すことをしている」と。賛成だ。

2021年8月13日

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