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「綱渡りの人生と諦めない人生 その2」



 夏野菜を中心に収穫してきた十月だが、いっきに寒くなって野菜はあまり成長しなくなった。先週までは「暑いですねぇ」とTシャツ1枚の上着なしでの挨拶だったが、今週になって1枚羽織っただけでは寒いくらいの気候で「十月ってこんなに寒かったでしたっけ?」という挨拶になった。「去年の十月もこんな感じでしたよ」とお客さんの一人に言われて、去年のデータを調べてみたらその通りだった。

 去年も十月十九日以降、最低気温13度以上の日は、十一月十七日までの間に2回しかなかった。それでも最高気温は平均して20度前後だったので、そこまで寒くは感じなかったのかもしれない。暑さ寒さは、着るもので何とかなる。僕たちにとっては、野菜の成長が重要である。同じ気温でも、北西の風が強く吹いて乾燥すると、冬の到来のような感じがする。風がなかったり、空気が湿っていたりすれば、野菜も大変そうには見えない。

 実際、ナスやピーマンの成長速度の鈍りは顕著である。こういう時には、台風よりはまし、というポジティブだかネガティブだかわからないような考え方でごまかすほかはない。ごまかしたって秋冬野菜は成長しないから、次から次へと種を播く。種を播くと、連れ合いが堆肥をまいていく。そうしたら、僕がまたその上からネットをかぶせていく。寒さで成長しそうにないと思ったら、更に不織布をかけていく。人間様が寝る時の、布団とおなじようなものだ。

 人参や大根の芽が出たら、土寄せをする。僕は、鍬を使っての土寄せが大好きである。キャベツやブロッコリーなどの植え付けのために、生分解マルチフィルムを畝に貼っていく時も、鍬を使う。鍬を使った作業を続けていると、思い出す。まだ20代の頃は、鍬のような道具を使える人になりたい、と思ったものだ、と。

 鍬というものは、鉄の板に木の柄がついた単純なものである。それを使って、土を動かす作業をするのである。人間の動作というものは、本当に素晴らしく対応できるもので、土の状態に合わせて微妙に手首をずらして力を入れることができる。何度も同じことをするだけで、自分自身に鍬の使い方のプログラムを仕込んでいくようなものか?これを人は、2千年以上使い動かし続けてきたのである。そのことを思うと、綱渡りのように現代を渡っている自分たちのちっぽけさを思い知らされる。鍬を使いこなしたとしても、すぐにお金が入ってくるわけじゃないけれど…。

 鍬一つ動かすだけで、人の歴史を遥かに見渡すことができる。デジタル機器の危うさとは真逆である。鍬を使ってみると、耕すという年季の入ったやり方が悪くない、と思う。不耕起というやり方にも良い点があるけれど、耕すやり方も悪くない。そして、種を播いたり、土寄せをしたり、あるいは堆肥をまいたり、という同じような工程を繰り返す時、僕たちはいろいろなことを一人、頭の中で巡らせる。そうして、諦めない人生をしっかりと歩む準備ができるのである。これが、農という生活スタイルの中の一つの良い形、であるとも思っている。その考えたことを連れ合いに伝える。そして実践するのだ。

2021年10月22日


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