まさか濃厚接触者として隔離生活を送る中で６２歳の誕生日を迎えることになるとは！予測できないことしか起こらない、と言いたくなる。色々な経験をさせてもらっても、まだ生きている。あれほどに忙しかった出荷生活を、スパっと休養生活に切り替えられるなんて、ラッキーもまた突然にやってくるものだ。

　簡単に状況を説明してみる。疲れが溜まっていた僕達夫婦は、まず連れ合いが休み休み仕事をするようになった。熱が出るわけでもなく、週末を超えた。水曜日の朝には、僕に疲れが表れた。疲れたところへ風邪のようなものをもらうと気管支炎を併発するのがここ十年以上の習性である。高熱が出たら大変と、近所のかかりつけ医でいつもの抗生剤を処方してもらって連れ合いが受け取ってきてくれた。昼にそれを飲んだが、夕方に熱を測ると35.9度と平熱になった。咳は出ないし喉も痛くない(周知の通り、コロナウイルスには抗生剤が効かないから、抗生剤が効くということはいつもの気管支炎として判断できるだろう)。

　その日、次女が喉に違和感があると、朝起きた時からマスク姿で出てきた。そのまま出勤したが、熱が出たとのことで早退して帰宅。そのまま布団に入った。翌日、発熱外来医院で抗原検査。陽性が出た。慌てて長男の通う高校へ連絡を入れて帰宅させる。これにて長男のサッカーは一時中断。チームはその日のうちに抗原検査キットを持ってきてくれた。陰性である。

　隔離生活は気を使う。奥座敷に部屋のある次女は、トイレとシャワー以外は部屋に閉じこもった。トイレは１箇所だが、和式と洋式があるので分離できる。食事はお盆にのせて連れ合いが持ち運び。長男は、自分の部屋で食事やら筋トレやら。僕達夫婦は、普通に食事、畑にも出られる。長男のサッカー練習も駐車場でいつものようにこなせた。次女がトイレやシャワーに出てくると、とにかく僕がパストリーゼを使って消毒。１日に500mlは噴霧した。一斗缶からせっせとパストリーゼを補給。そこだけは気を遣った。

　僕や連れ合いが感染してしまうと、長男はまたサッカーチームでの休止期間延長が考えられるために、僕達もあまり無理せず休養した。それでも、貯蔵用冷蔵庫の故障箇所を修理できたし、庫内の清掃もできた。サツマイモの植え付けも少し進んだ。出荷できなくなってしまったので、ズッキーニや胡瓜はたくさん畑に戻したが、野菜たちは関係なく元気である。

　次女への医師の処方は、喉の炎症を抑える薬のほか、解熱剤と痰を出しやすくする薬だけで.４日分を発症２日目から服用。４日目には熱も下がり、６日目には喉の痛みも和らぐ。８日目に喉の痛みも取れた。９日目には専門学校の講師としての授業をリモートで行いはじめた。

　９日目に、長男のところへチームはPCR検査に来てくれ、長男は２回目の陰性。今日の１０日目にして、僕達濃厚接触者は晴れて日常生活に戻ることができたのだ。結局、次女はどこで感染したかもわからない。日本でこれまでに新型コロナウイルスに感染した人は８９０万人だという。１５人に一人の計算だが、その他に僕たちのような濃厚接触者としてコロナを実感できた人は多数いるわけだ。貴重な経験で６２歳を記憶した。

2022年5月27日

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