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「今年は予期せぬことばかり その3」



 本来なら、今が梅雨明けの時期だろう。きっと気象庁のミスに違いない。例年、7月中旬から下旬がその時期である。梅雨にしては、7月の雨の降り方が尋常でなかったけれど、雨続きがこれほどに長期にわたるのは、梅雨の特徴でもあるだろう。梅雨前線という見方は、線状降水帯の近年の頻繁な出現と今年のエルニーニョ現象で修正されるべきだろう。

 さて、6月下旬、長年の野菜のお客さんでもあるFさんが急逝された。あまりに突然のことで、僕の脳ミソもよく理解できなかった。猛暑での熱中症が引き金になったと予想される。Fさんの旦那さんであるMさんとも、音楽を一緒に演奏させていただいた経験もある。Fさんの他界後も、野菜を届けている。

 Fさんの他界する1週間前にも、僕は野菜を配達している。何と言っても30年ほどもお宅に通っている。玄関に、いつもとは違う絵のようなものが置いてあった。「これはどうしたんですか?」と僕は指さしながらご主人のMさんに尋ねた。京都の祇園祭を表現した、手ぬぐいに貼り絵したような作品で、Mさんが一つ一つ説明してくれた。その後、奥様であるFさんが「見てもらいたかったんだよね〜」と一言。その言葉が、僕の覚えている最後のFさんの言葉である。

 出会いは30年前。当時、地方の小さな新聞の記者をしていたFさん。まだ帰農して3年ほどの僕を取材し、新聞に写真入りで紹介してくれた。その際、うちも野菜が欲しい、ということで、それ以来配達をさせていただいているのである。そして、その数年後には、どういう経緯からだったかは覚えていないが、Fさんは市会議員になった。典型的な草の根タイプの議員を貫いた、と思う。数年前には議員も辞していた。今、政治家が、収賄だ汚職だ宗教との癒着だなんだ、と言い訳三昧で政党に顔を向けてばかりが多いけれど、Fさんのように市民を向いてオモテウラのない世界を歩く世界はないのだろうか?

 Fさんが他界する1週間前に野菜を配達したその前日、僕はギターソロを弾いた。フルアコのエレキギターを注文して、試奏し、弦をオーストリア産のものに交換して納得し、ギターアンプにダイレクトに繋いで音出しをしたのだ。あまりに納得の音で、そのままテンポ90でソフトウェアのドラムス相手に、7分弱のソロを弾いたのだった。どういうわけか、キーはBであった。音楽を向いて、ギターの響きを頼りに、オモテウラのないソロを弾いて気持ち良い、そういう世界だった。

 1週間後、野菜の配達が休みになった。息子さんから急逝のメッセージをもらった。寝耳に水とはこのことだった。返信することもできなかった。僕にとってFさんは、市井のおばちゃんであり、市民そのものの象徴だったかな、と気付いた。オモテウラなく一所懸命に生き、できれば人の中で人の役に立つ人でありたいけれど自己主張はあまりしない、そういう人だった。そして、絶えずご自分の子どもたちのことも気にかけていた。僕の弾いたギターソロにベースを加えて、おこがましいけれどFさんに捧げます。

2022年7月22日




「Fumidon B blues」

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