★ 「週刊てーて」+αをブログでどうぞ。 ☆ ひらく農園の野菜を入手できるお店
僕たちの隣接する工場火災の野菜への被害は再生へ踏み出し、少しずつではあるが出荷は再開されている。しかし、その前に台風15号が南の海上を通過した。先週、この週刊てーてを書いている間にも、雨は強くなっていた。午後5時から8時の間の3時間で、この街の記録では150ミリの雨が降っていた。場所によっては1時間に120ミリという雨だ。体験したことのない雨だと思う。
またしても金曜日の大雨だったが、翌朝少し街を走ってみると、床下浸水が見て取れる所もあったし、まだ田んぼから水が道路に溢れている場所もあった。大通りには車が2台放置されていた。車が動けなくなって、置いたまま逃げたということだろう。周囲の水は引いていた。その朝、いつも出荷しているショッピングモールから(火災被害のあとは出荷を休んでいた)電話があった。地下駐車場に水が溜まって、しばらくショッピングモール自体が休業する、ということだった。結構ひどかったんだな、あれだけ降ればそうだよね、という感覚だった。
そのあたりは、元は湿地帯のような場所で、僕の高校時代のころまでは何もなかったようなところだったと思う。高校を卒業した頃に、そのあたりに大きな喫茶店ができて皆で行ったような記憶はある。埋め立てられて、今は商業地になって久しい。その中心ともいうべき場所にショッピングモールがある。すぐ横に河があり、多分そこから溢れたり逆流した水が被害を大きくしたのだと思うが、見ていないからわからない。その河は、僕の住んでいる家の北側を流れる河の支流の支流である。
結果的に、ショッピングモールは、最低でもさらに今から2週間は休業するらしい。つまりまるまる1ヶ月も休むわけだから、従業員も大変だ。なんと地下に設備電源があるというのだ。それは復旧に時間がかかるのも無理はない。そのショッピングモールの北のあたりにコンビニが去年くらいにオープンした。そこは水が腰までつかって、従業員が救助されたらしい。時間が経つに連れて、被害状況はかなりひどいことが伝わってきた。市の北部では橋が破壊されたり、土砂崩れが起きている。幸い、水や電気などのライフラインは大丈夫のようだ。
県内の洪水の被害はさらに厳しい所が複数あり、ライフラインすらまだ復旧できていない所もあるという。僕たちの火災被害などそれに比べたら…、という気持ちにもなるけれど、どこであれ誰であれ、被害の大きさを比べて片付くものでもない。しかし、現実には、台風がもたらした豪雨により、僕たちの被害者意識も薄まった。時間という大きな要因もある。前に踏み出してしまえば、過去を取り繕う時間すら見出すことはできなくなるというものだ。
朝、仏の間で手を合わせていた時、ふと思った。先に死んだ人や今生きている人の中にある怨念のようなものを鎮めるには、前に進む、未来へ踏み出す以外に方法はないのではないか?と。先に死んでしまった人は、自ら未来へ踏み出すことはできないような気もする。ということは、先に死んだ人の分まで、今生きている僕たちが前に進むほかはないのかもしれない。天災なれど、被害の多くは人災だ。因果応報でも人は進む。
2022年9月30日