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「2023年に向けて」



 働いて働いて、働いて2022年が暮れ落ちた。30日まででファーマーズマーケットの出荷を終えることにして、大晦日は前日からの剪定作業や草刈りでよれよれになってしまった。前日朝の餅つきもあり、年内に週刊てーてを書くことはできなかった。大晦日は、朝に四女が帰省し、夜には長女と三女も帰ってきたので、そこでもうお疲れ様となった。

 夜、最寄りの高速道路インターチェンジまで、長女と三女を迎えに行った。僕が大学生の頃にやはりハイウェイバスで帰省したことがあり、今はもう他界した親父が迎えに来てくれた場所であることを思い出した。ああ、あの時、車を走らせてくれた親父もまた嬉しかったのだろうな、と今になって思うのである。当の本人は、そんなことを当時考えるはずもない。その迎えに来てくれた親父の車に乗って、帰り道にどんなことを会話したのか、そのことすら全く覚えていない。

 大晦日の夜半、日付が変わってから、長女と会話していたのだが、面白いことを長女は言った。「お父さんたちは私の彼氏がどんな人かなんて興味が無いのではないの?」と。そういう事を考えていたのかと驚いた。「おまえの電話などで話した内容の一言一句まで吟味して、あらゆることを心配しているのだよ、ずっと」と答えた。と同時に、うちの子たちは、親にいろいろ話したがる子たちなんだと、自分の親父やお袋へのスタイルとは違うのだな、と納得する始末である。

 元旦の夜には、やはり三女が僕に訊いてきた。「どうしてお父さんとお母さんは結婚したの?」と。それには答えに窮した。どうして?と聞くかな?三女は質問を変えた。「どこで知り合ったの?」。「田んぼの稲刈りにお母さんがMさんに連れられて手伝いに来たんだよ。お母さんが頑張ることのできる人だと感じたんだよ」。そのような会話は、子供たちが幼い頃にもしていたはずだが、彼女たちに彼氏ができるようになって、ようやく我が事に当てはめて考えるようになったということだろう。裏を返せば、僕が僕の親父の気持ちを理解することと同じである。

 去年は、もういつ僕が死んでもいいくらいに、悔いのないように生きることを主題としていた部分もある。それはそのまま今年も継続するだろうけれど、もう一つ、自分の子供たちへの気持ちの橋渡しを言葉として残していくことも付け加えるような年にしてみたい。そのようなことを拡げて解釈すれば、有機農業者の若い人たちにも、橋渡しの言葉を紡いでいけたらいいかもしれないと思う。僕と連れ合いの農業者としてのやり方の中から感じた橋渡しである。

 さらに音楽として拡げたなら、ギターを核に、自分の言葉と下手くそな歌を組み合わせたものを表現して残してみようと思う。残すという作業に、うまいも下手もないだろうし、人様の評価を気にすることもない。ちょうど、現在の長女の彼氏は、ギターを始めたばかりなのに数十万円もするギターを所有していると言うし、三女の彼氏もギターを弾いてみたいと言っているらしい。僕たちのアナログ時代の良さを橋渡しできるかな?

2023年1月2日





 なかなかに霞を食べて生きていくことはできませんが、古代に思いを馳せながら、祈りのソロギターです。

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