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「時代は変わるし人も変わるが変わらないものもある」



 微生物の世界のことを少しだけ二週に渡って触れたけれど、その世界で人が知っていることはほんの一部である、ということだけが確かなことかもしれない。土の中の微生物の相(層?)が、植物の意思によって変化することは興味深いイメージである。当然だろうけれど微生物にだって意思があるはずだ。つまり、土の中が変化しているということで、そこに時間は大いに関係していることになる。意思というものが動くには時間が必要だ、ということか?

 人のカラダも常に細胞が入れ替わっているらしい、ということはかなり前にも書いたような気がする。生物学者の福岡伸一さんが言うところの「動的平衡」という言葉も想像力を刺激する。ちなみに、生体内での代謝を追跡する方法を確立したルドルフ・シェーンハイマーという人がdynamic stateという言葉を使い、それを福岡さんが「動的平衡」という言葉に言い換えたとNHKアカデミアの放送内では語っていた。「生命は流れだ」という言葉もまた興味深い。流れということは、時間が必要だということでもあるだろう。自らを壊しながら再構築していくという生命の流れという考えは、レベルやバランスにもよるだろうけれど、壊れてもいいよ再構築すれば、という非常に人の心に優しい考えだと感じてしまう。時間をかけて。

 二週間前に触れた嫌気性微生物の一種が人のがん細胞にたどり着くということも、時間が関係している。時間軸の中で、細胞や微生物が、親和性のないものとの関わりではスルーして時間とその場所をやり過ごし、親和性のあるものの場所にたどり着いた時に殻を破って自分らしさを発揮する。それはほとんど人間社会と変わらないのでは?と思ってしまう。

 話は急激に飛ぶが、日本では昔から大根を干して塩漬けにしたたくあんを食す習慣がある。僕も帰農した頃には何度も漬けて、販売していた時期もあった。この頃はほとんど漬けてないのが寂しいけれど…。そのたくあんを農家が漬けて販売することにも、食品衛生法の規制がかかってくるようだ。大根と塩、唐辛子や糠などを使って一種の発酵を促し、微生物様の変化を食に取り入れる伝統が壊されようとしている。これは農家の自由な伝統の継承を脅かすものだという憤慨は理にかなっている。

 僕が常に疑問に思うのは、現場の声、過去の声を鑑みもせずに、伝統を壊すようなことをしていないか?あるいは経済社会に全てを当てはめて白黒を決着させようとする近視眼に覆われていないか?ということだ。それこそ、伝統の保存食を化学的な添加物もなしに作り食べ続けることでのカラダの変化まで、そこまで考えて精査した末の政策であってほしいのだ。

 微生物の世界に詳しいわけではないが、あくまでも僕たちは畑で野菜を育てることと食に関することに特化して考えながら仕事をしている。畑の肥料成分についても、窒素やリン酸やカリという捉え方は2の次で、有機物を微生物がどのように分解し、その野菜にとって何が必要なのかを観察するが、殆どの場合は何もせずに、井戸水を出すか風や野鳥から守るか、せいぜい保温するくらいがほとんどだ。結果として時間をかけて育った野菜が、人の体内で「流れ」として活躍することを想像しながら収穫するのである。

2023年1月27日


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