★ 「週刊てーて」+αをブログでどうぞ。 ☆ ひらく農園の野菜を入手できるお店
この冬をカザフ大根とともに過ごしたことは、何度か触れてきた。連れ合いが、引き続き酵母を維持してくれていて、2,3日に一度ずつパンを焼いてくれている。未成年の子供たちが複数人存在する時には、僕がパンを毎朝食べる習慣は途切れていた。子供たちは皆連れ合いの焼くパンが好きなので、「お腹すいた〜」と学校から帰ってきて食べるパンを取って置かなければいけないからだ。去年はとうとう未成年者が長男一人になり、僕の朝食のパンの習慣が戻ったというわけだ。そのパンにカザフ大根がぴったりだったのだ。
ところが、夏や秋の頃までは、味噌汁とパンとバターでは、僕のカラダにビタミンCが足りない感じになる。この「感じ」というものに僕は忠実に生きている。そこで、果物をあとから食べたり、オレンジジュースを飲んだりしていた。しかし、この冬は、カザフ大根のおかげなのかビタミンC不足を一度も感じなかった。そういう意味でも、自家製カザフ大根のジリジリ焼きと、自家製パン、そして自家製味噌の味噌汁で、朝のバランスが取れていた印象である。
この冬のもう一つの発見は、小松菜の昆布出汁しゃぶしゃぶである。真冬のうちの小松菜と言ったら、それはもう露地の寒風の中に育っているわけで、ほとんど成長しないような小さくて小さくて小松菜には見えないような葉っぱである。それが僕には、とても美味しそうに見えて、思わず連れ合いにこれを茹でてみてよ、と伝えた。連れ合いは水に昆布だけを入れて大根と小松菜を茹でてくれて、鍋ごと食卓に上った。小皿に醤油と酢だけを入れて、その小さな葉っぱ一枚ずつしゃぶしゃぶのように食べる。これが実に美味しい。
そのことをお客さんの一部にも伝えた。すると東京のSさんよりメッセージをいただいた。昆布出汁ではまだ食していないけれども、「子供の頃から小松菜の『辛子和え』が定番です。茹でて酒と醤油に絡めた豚バラ肉と共に」食すそうである。それを今度は、市内のUさんに伝えた。「えー?辛子和え?辛子和えなら菜の花かなー?」と反応された。すると今度は僕が「え?菜の花、うちではさっと茹でるだけですよ。それに醤油をかけて食べるのが子供たちもみんな大好きで」と応えた。「えー?茹でるだけですか?」とUさん。
家に戻って、連れ合いにそれらのことを伝えた。「きっとみんな、普通にマーケットで売られている菜の花の味が普通だと思っているのでは?そのような菜の花は少し独特な香りのようなものがあるという先入観から、辛子とかを加えたくなるのだと思う。うちの菜の花は癖がないから、茹でただけで十分なのね」と。
僕は反省した。もう25年以上も野菜を買ってくれているUさんに、ただ茹でるだけの菜の花を伝えていなかったとは!それにしても、食習慣の違いには様々なレシピ、アイディアが眠っていることがこれだけのことでもよくわかる。特に、その家庭での定番ものは、少なくない時間をその家庭で共有されてきたわけで、決して一過性の食べ方ではないはずだ。それが、それぞれの家庭で眠っているとしたら、宝物はそれこそ少しずつでも共有できたほうが豊かであろう。ましてオーガニックな食材では尚更かもしれない。
2023年2月24日