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「鎮魂と習性 その4」

 ありえないことに、9月になってしまった。8月はいったい何をしていたというのであろうか?秋冬野菜の準備をまったくしていない、という状況こそ、ありえないことなのである。それほどに暑い8月であったことも確かだが、その暑さの中をあれこれ頑張りすぎて、とうとう寝込んでしまったことは、自業自得というか必須の休養を取らされたと言うべきか?

 おじさんの葬儀のあと、38度を超える熱を出した。コロナを疑って、東京の従姉妹にLINEしてみると、皆元気だという。数時間経過してから、抗原検査キットを連れ合いに買ってきてもらい、初めて検査したが、あっけなく陰性。翌日には熱が下がり、鏡で喉を覗いてみると、ヘルパンギーナのような水疱状の腫れができていた。夏風邪をもらったか、とゆっくり静養した。金曜日、土曜日とフルに働いた。日曜日には鶏糞堆肥運搬の予定が入っており、4tダンプもレンタルしてあった。すると、土曜日の夜になって、急に気管支の辺りが痛みだし発熱。平熱だったのに、一気に39度を超えた。

 結局、堆肥運搬は中止となり、今度こそコロナだな、と覚悟して抗原検査キットをもう一度利用した。またしてもあっけなく陰性。連れ合いは、相変わらずに一緒の食事、一つの布団で寝ているのに、全く元気である。つまるところ、いつもの僕の持病とも言うべき気管支炎へと発展した、と思い至った。ここのところしばらく熱を出していないのは、外出時マスクの着用という環境の賜物だったろう。しかし、葬儀に行った東京では、こちらがマスクしていようとも、大多数の人がマスクをしていない状況だった。僕のカラダが、忙しさと暑さで疲弊して、免疫力が低下していたことは言うまでもない。

 月曜日には36.7度に熱が下がり、近所のかかりつけ医で、レントゲン検査、血圧検査、血液中の酸素濃度、血液検査をしてもらって、抗生剤を出してもらった。夜には、かかりつけ医のお宅へ野菜の配達に行き(収穫はすべて連れ合いがやってくれた)、血液検査の結果を渡された。炎症反応の数値だけが8を超えて異常に高く、他の数値は正常値の範囲であった。安静にしている日数だけが増え、秋冬野菜の準備がまったくできない状況に拍車をかけたのだ。

 昨日は平熱に戻り、まだ養生している段階だったが、窓を開け放ち、仏間に久しぶりに出向いた。知らず知らずのうちに、「おやじ〜、ゆっくりしちゃったよ」と呟いていた。「Mおじさんが休ませてくれたんやな〜」とも。どうして人は、何かに陥ったあとに安堵した時、死んだ人と話すのだろうね?しかも、いつだって事後報告だ。そういうものだけど、つまるところ事後報告すれば許されると思っている節がある。

 もう、焦らないで、秋冬野菜が遅くなるのは仕方がないから、いつものようにできることをするほかはない。まだ今年は、台風の直撃がないから、これから大変な時が来ることも十分に予想できる。どうなったところで、がむしゃらに生きることしかできないことは、先に死んだ方々も見ているからわかるだろうし。この習性こそ、受け継いできているものかもしれないからね。ちょっとまだ秋をイメージできない気温の中で…。

2023年9月1日





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