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「どこから来たかを永遠に その6」



 昼間、ショッピングモールへの配達の道すがら、いろいろなことを考える。こんな田舎の街でも、次から次へと新しい建物が増え続け、新しい景色へと日々変わっていく。人口が減っているはずなのに、新築の戸建住宅は次から次へと建て売りされ、そこに人が入居していくのを目の当たりにする。しかし、僕たちはいつもの畑で、三十年以上も変わらずにちまちまと野菜を収穫し、それを人様に届けることを続けている。この狭い世界で子供を育て、連れ合いを閉じ込めているようなものなのか?などと一瞬思ってしまうこともある。

 そこで、考えを進めていくと、我に返る。有機農業などというものは、大きく変わる種類のものではなく、毎日同じことを数十年続けてようやく土が応えてくれるものなのだ、と。外の世界とあまりに違うことを一瞬不安に思うこと、こんな異端児ですらそのようなことにふと囚われる瞬間があるのである。突き詰めて考えていくと、結局自分に戻り、ああこれでいいんだと確かめる時があるのだ。

 特にこの二十年くらいは、子供を育てることと野菜の仕事に没頭してきたと言っていいかもしれない。人前で演奏する音楽すら封印して、自宅で一人演奏し録音する日々でもあった。去年の夏、叔父さんの葬儀で東京へ行き、久しぶりに親戚の人々の中の一人となった。その時、従兄弟の一人の僕に対するつぶやきを聞いた。「ロック野郎が何言ってるの?」というようなニュアンスである。その言葉は、良い意味で僕に刺さった。昔のロックバンド時代の僕をよく知っている彼には、今の僕がえらくまっとうに見えたのかもしれない。いや、臆病に見えたのかもしれないね。僕は、その言葉に、何かを思い出したような勇気を見つけたのだった。

 実際には、例えば、家から専門学校講師として通勤している次女と毎夕食時に会話するのだけれど、反体制的な意見を言う事の少なくない次女が、そんな生ぬるいことではだめだよみたいな意見をボンボン口にする僕を牽制するのだ。具体例としては、「メディアがニュースを伝える際に、自分で取材したことを伝えるのではなくて、SNSの人の噂を拝借して伝えるなんて最低や」と僕がいうと、次女は僕を諌める。「メディアというのは主語が大きすぎるでしょ?あれをやっているのはアルバイトらしいよ」などと。次女みたいな尖った人間がいると僕はすぐに返答したくなるけれど、田舎にはおかしな人間が少なすぎるのだ。

 おっと、何を言いたいのかわかりにくい。あの従兄弟が言ったように、僕は単なるロック野郎に過ぎないのだ。その原点は反骨心であるわけだから、アマノジャクであることは当たり前なのだ。野菜で言うなら化学肥料や農薬に対する反骨心である。音楽で言えば、日本の業界に対する反骨心であったり、かな。反骨心というものは、ただ反発するだけなら簡単であるけれど、僕の言う反骨心は在野の精神であり、自分で何ものかを探し出すという意味だ。体制の意見を鵜呑みにしない、みたいな。自分で確かめなければ信用できない、という側面もある。人って何?音楽とは?ということも衣食住に関係する労働の中で考える、ということ。そこから僕は来た、ということを従兄弟が思い出させてくれたのだ。

2024年3月15日




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