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「64歳」



 64歳になった。何か変わったか?と言われたとしても、何も変わらない。境目のない時間の連続では変わらないように見えるけれど、五年ごとに区切れば、大いに変わっていると言えるかもしれない。はっきり変わったのは、63歳までは母親が生きていた、ということくらいか。誕生日には、次女が純米大吟醸酒を買ってきてくれたし、僕たち夫婦も買い物をして、常食の魚に、明太子と鶏レバー肉を足したくらいだ。あまりに野菜の仕事が忙しすぎたので、僕の心臓に負担がかかったように感じた時があったから、違う栄養素を取り込もうとしたのだ。

 昨日の日曜日は雨がまた降った。出荷の合間に、植え残しのナスの苗を植え終えた。その前の雨前には、オクラの種を播いた。一昨日には、冷蔵庫小屋を掃除して、冷蔵庫屋さんを迎え入れ、壊れたユニットクーラーの取替工事をしてもらった。今までの冷蔵庫が24年稼働してくれたのだから、今度もまた24年動いてもらいたいものだ。その時には88歳だ。おふくろの寿命の歳になる。それを聞いた次女は「私は49歳になってしまう、恐ろしい」と言った。その恐ろしいはずの49歳を、今では若いと思うし、遠い昔のような気もする。

 まだまだ苗の植え付けもあるし、仕事は永遠にあるのだけれど、一つ一つがこなされていく様は、僕たちに大いに安堵を植え付ける。子育ての気配が激減したことで、僕たちの仕事量は若い頃よりも増えた。畑の土も年々少しずつ良くなるわけで、野菜もそれだけ収穫できるので出荷量が増加しているのだ。働き過ぎを自分たちで警戒できるところが、歳を重ねた益であるのかもしれない。出荷の合間に、連れ合いのミシンが登場していると、むしろ安堵を覚えるのは、働き過ぎを懸念するからであろう。

 ナスを植えていたときに、このような植え付けをする仕事が帰農する前にはやりたかったことの一つだった、と思い出した。泥にまみれながらの仕事だが、何とも幸せな感じがするのである。10日ほど前にはトラクターで耕して畝立てし、連れ合いが堆肥を畝の上にたっぷり置いていく。そのまま僕は生分解マルチを畝に貼った。そこへスコップを突き刺し、苗の根をほぐして、堆肥にできるだけ直接根が当たらないように土を入れながら植え付けする。苗はもちろん、僕が種を播いて育てたものだし、種を播いた培土だって僕がミキサーで仕込んだものである。その一連の流れが、3ヶ月のうちに達成されるのだ。

 植え付けるまでが3ヶ月ならば、植え付けてから2ヶ月ほどを寄り添い、それから収穫期が3ヶ月以上続く。ナスをたくさん植え付ければ、寄り添っている間にニジュウヤホシテントウなどの虫がつくので、その卵や幼虫を潰す仕事もたくさんやらなければいけない。そこに時間をかけることに苦はないけれど、時間を確保するのが大変なのである。

 時間に限りがあること、それこそが人の最大の難所とも思えてくる。その限りある時間の中で、ギターを弾く時間をひねり出し、実際にギターを弾いてみると、そこには未知の幸せに包まれた瞬間が現れる。基礎練習をするだけで、音色が嬉しくてたまらなくなるし、創作意欲が溢れ出てくるのだ。これを定義することはできないね。

2024年6月3日




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